「帰任先は東京勤務。でも住むのは都内か、川崎か、市川か、まだ決まっていない」――そんな段階で「帰国子女枠 中学受験 関東」と検索したご家庭に向けた記事です。都県を決めきれないうちは、学校の名前を並べても頭に入りません。関東で本当に最初に必要なのは、東京・神奈川・千葉・埼玉で入試の「時期」がまるごとずれているという構造と、それを前提にした都県をまたぐ併願の組み方です。ここでは偏差値や優劣には一切踏み込まず、海外にいるうちに決めておくべき「日程の設計図」だけを整理します。
中学受験は「住む県」で受験先が縛られない
まず、いちばん安心していい話から。高校受験の場合、公立はその都県に住んでいることが出願の条件になるため、住まいが決まらないと受験先も決まりません。ところが私立中学の入試には、原則としてそうした居住地の縛りがありません。東京に住みながら千葉の私立中を受けることも、神奈川に住みながら埼玉の私立中を受けることも、通学が現実的な範囲であれば普通に行われています。
つまり関東の中学受験では、「どこに住むか」が決まる前から、受験の計画だけは進められるということです。逆にいえば、選択肢が広いぶん設計を間違えやすい。海外在住のご家庭にとっての制約は住所ではなく、一時帰国の回数という別の場所にあります。帰国枠そのものの仕組みは帰国子女 中学受験の条件・日程・選考型に、海外から受ける段取り全般は海外から日本の中学受験にまとめています。
なお、この記事の役割は都県をまたぐ設計図です。各都県の中身(実施校の傾向、選考科目、資格要件の細かい違い)は、帰国子女枠 中学受験 東京・神奈川・千葉の各記事に分けて書いています。関東以外への帰任が候補にあるなら関西や名古屋(愛知)もどうぞ。

関東の入試日程は「1月=千葉・埼玉/2月=東京・神奈川」の二層構造
首都圏の中学入試には、長く定着している解禁日の慣行があります。埼玉が1月10日、千葉が1月20日、東京と神奈川が2月1日。同じ「関東」でも、入試が始まる日が3週間ずつずれているのです。これは後から私学が増えた埼玉・千葉が、受験生を集めるために早い日程を選んだ結果だと説明されています。だから首都圏では、埼玉・千葉を先に受けて場慣れしてから2月の本命に向かう「前受け」という言葉が当たり前に使われます。
そして帰国枠はこれよりさらに早いのが最大のポイントです。帰国生入試を一般入試から切り離して実施する学校が多く、実施時期はおおむね11月から1月。大手塾が公表している首都圏の帰国生入試カレンダーは10月から翌1月までを掲載範囲としており、11月と12月に日程が集中しています。2026年入試では11月22日(土)・23日(日)に最も多くの学校が実施したと案内されていました。東京の2月1日と比べれば、2か月以上前倒しということになります。
- 東京:帰国枠は11月下旬〜12月が中心。東京都私立中学高等学校協会の申し合わせで実施日の下限が設けられ、2025年度入試については「11月20日以降」とされたと説明されています。公式に確認できるのはこの水準までで、実際の日付は各校の募集要項が唯一の根拠です。
- 神奈川:12月〜1月に帰国生入試を行う学校が多く、2月1日以降の一般日程のなかに帰国枠を置く学校もあります。統一の解禁日は確認できませんでした。
- 千葉:12月に帰国生入試を行う学校(市川中学校など)と、解禁日の1月20日に合わせる学校(渋谷教育学園幕張中学校など)に分かれます。渋幕の帰国生入試は英語の筆記・リスニングとエッセイに面接という構成が公表されています。
- 埼玉:一般入試の解禁が1月10日と早いぶん、帰国枠も1月に置かれる例があります。ただし実施校は東京・神奈川ほど多くありません。
- 茨城:江戸川学園取手中学校のように帰国生入試を設けている学校があります。数は限られますが、「北関東には帰国枠がない」というのは誤解です。
いずれも代表例であり、日程・科目・募集人数は年度で変わります。必ず各校の最新の募集要項でご確認ください。

| 東京 | 神奈川 | 千葉・埼玉 | 茨城ほか | |
|---|---|---|---|---|
| 帰国枠の実施時期 | 11月下旬〜12月が中心 | 12月〜1月が多い。2月の一般日程に置く学校もある | 12月に行う学校と、解禁日(千葉1/20・埼玉1/10)に合わせる学校に分かれる | 1月に行う学校が中心。実施校は限られる |
| 一般入試との日程関係 | 一般は2月1日解禁。帰国枠は2か月以上早い | 一般は2月1日解禁。帰国枠が一般に組み込まれる場合もある | 一般入試そのものが東京・神奈川より早く、前受けになりやすい | 1月中心で、千葉・埼玉と同じ時期に収まりやすい |
| 出願資格の傾向 | 海外滞在1年以上・帰国後3年以内という目安が示されたと説明される | 学校ごとの差が大きい | 学校ごとの差が大きい | 学校ごとの差が大きい |
| 一時帰国の組みやすさ | 11月下旬〜12月の週末に集中し、1回でまとめやすい | 東京と近い時期のため同じ帰国回に載せやすい | 1月にもう一度帰国が必要になることがある | 千葉・埼玉と同じ帰国回に載せられる場合がある |
| 情報の出どころ | 各校の募集要項+東京都私立中学高等学校協会 | 各校の募集要項 | 各校の募集要項 | 各校の募集要項+海外子女教育振興財団の帰国子女受入校情報 |
関東の併願は「一時帰国を何回にするか」から逆算する
ここからが、海外在住のご家庭だけが直面する論点です。日本国内の家庭なら、11月の東京、1月の千葉、2月の神奈川と好きなだけ受けられます。しかし海外にいると、受験のたびに航空券と滞在と学校の欠席が発生します。だから関東の併願設計は「どの学校を受けるか」ではなく、1回の帰国で何校受けられるかから組むのが実務です。
いちばん効率がいいのは11月下旬から12月にかけての1回にまとめる型です。この時期は東京・神奈川の帰国枠が週末に集中しており、千葉で12月に行う学校も重なります。2〜3週間の滞在で複数校を回れれば、渡航は1往復で済みます。一方、渋幕のように1月20日に帰国枠を置く学校や、埼玉の1月入試を入れたい場合は2回目の帰国が必要になります。さらに2月1日以降の一般入試まで併願するなら3回目です。ここを最初に決めておかないと、あとから日程だけが増えていきます。
もう一つ、帰国回数を左右するのが書類です。在学証明書や成績証明書、海外在住を証明する書類は現地にいるうちにしか取りにくいものがあります。出願が11月から始まる学校もあるため、逆算すると9月には準備を始めることになります。受験前に力試しをしておきたい場合は帰国子女 中学受験の模試を、そもそも受験ではなく編入で入る道を比べたい場合は帰国子女 編入 中学 関東もあわせてご覧ください。
「前受けができる」は関東の武器。ただし帰国枠では細くなる
首都圏の受験生が埼玉・千葉を前受けに使えるのは、一般入試の解禁日が早いからです。同じ発想は帰国枠でも使えます。11月・12月の帰国枠を「本番前の練習」に位置づけ、2月の一般入試を本命にする組み方は実際によくあります。海外の学校に通っていると日本式の試験に慣れる機会が少ないため、1校目を練習として設計しておく意味は国内以上に大きいと考えています。
ただし注意点が二つ。ひとつは、埼玉・茨城は帰国枠の実施校が東京・神奈川ほど多くないこと。「何校あるか」という公的な統計は見つけられませんでしたので、都県で絞って探すなら海外子女教育振興財団が公開している帰国子女受入校の情報が現実的な入口になります。もうひとつは、練習として受けた学校に合格した場合の入学手続きの締切です。延納の可否や辞退の期限は学校ごとに違い、ここを読み違えると納入金が発生します。学校の実際の様子や締切の扱いは帰国子女 中学受験の説明会でオンライン参加して直接確認するのが確実です。女子校を中心に検討している場合は帰国子女 中学受験 女子校も参考になります。

日程設計は塾へ、土台の国語はともだちじゃぱんへ
正直に申し上げると、ともだちじゃぱんは受験塾ではありません。関東のどの学校をどの順で受けるか、過去問をどう解くか、志望校別の面接・作文をどう仕上げるかは、蓄積を持つ帰国生専門塾の領域です。その価値は本物で、受験期は必ず併用をおすすめします。私たちが担うのはそのひとつ手前――学年相当の国語・日本語という土台です。帰国枠の選考は英語だけで終わることは少なく、作文や面接、そして合格後の授業はすべて日本語で進みます。
ともだちじゃぱんは、国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJINが母体です。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った、今の日本の教室を知る現役水準の教員。8人制の少人数クラスには日本に住む同世代の仲間がいて、「勉強だから」ではなく「友達と話したいから」続きます。だから読解も記述も日常のなかで積み上がり、関東の中学に入学するときにはすでに日本に友達がいる状態で新生活を始められます。料金は通い放題で月額定額です。海外での国語の伸ばし方は帰国子女の国語、オンラインの選び方は帰国子女 国語 オンラインの選び方にまとめています。
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よくある質問
住む場所が決まっていません。先に受験校を決めても大丈夫ですか?
私立中学の入試は、原則として居住地で出願先が制限されません。東京に住みながら千葉や埼玉の私立中を受けることも一般的です。ですから「住まいが決まらないと動けない」ということはなく、むしろ日程の設計は先に進めておくべきです。ただし通学時間だけは後から効いてきます。帰任先のオフィスと候補の学校をあらかじめ地図の上に並べ、片道どのくらいまで許容するかを家族で決めておくと、住まいが決まった瞬間に絞り込めます。なお公立中高一貫校は居住地の要件がありますので、そちらを検討する場合は各自治体の募集要項をご確認ください。
帰国枠の入試は何月ですか? 一般入試より早いのですか?
はい、早いのが一般的です。首都圏の帰国生入試はおおむね11月から1月に行われ、大手塾が公表するカレンダーでも11月・12月に集中しています。一方、一般入試の解禁は埼玉が1月10日、千葉が1月20日、東京・神奈川が2月1日ですから、帰国枠は東京の一般入試より2か月以上前に始まる計算です。この「早い」という性質が、前受けにも本命にも使える関東の強みになります。ただし学校によっては一般入試と同じ日程のなかに帰国枠を置く場合もあるため、必ず志望校ごとに日付を確認してください。
一時帰国は何回必要ですか? 1回にまとめられますか?
受験先の組み方次第です。東京・神奈川の帰国枠は11月下旬から12月の週末に集中しているため、この時期に2〜3週間滞在すれば複数校を1回の帰国でまとめられる可能性があります。逆に、1月20日に帰国枠を置く千葉の学校や、1月の埼玉入試、2月1日以降の一般入試まで併願するなら、帰国は2回・3回と増えます。航空券や滞在先は早く押さえるほど安く確保できますので、志望校を絞りきる前でも「何回帰るか」だけは先に決めておくことをおすすめします。
埼玉や茨城にも帰国枠のある中学はありますか?
あります。埼玉には帰国生を受け入れている私立中が複数あり、茨城でも江戸川学園取手中学校のように帰国生入試を設けている学校があります。ただし東京・神奈川に比べると実施校は少なく、「関東全体で何校」という公的な統計は確認できませんでした。都県を絞って探す場合は、海外子女教育振興財団が公開している帰国子女受入校の情報から候補を洗い出し、そのうえで各校の公式サイトで今年度も募集があるかを一校ずつ確認するのが確実です。年度によって帰国枠を取りやめる学校もあるため、塾のまとめ記事だけで判断しないようにしてください。
出願資格の「海外在住◯年以上・帰国後◯年以内」は関東で共通ですか?
共通ではありません。私立中学の帰国枠は学校ごとに資格を定めており、海外在住年数も帰国後の期限もばらつきます。東京については、私立中学高等学校協会の申し合わせで「海外滞在1年以上、帰国後3年以内」という目安が明確化されたと説明されていますが、公式に確認できるのはその水準までで、実際に適用されるのは各校の募集要項に書かれた条件です。とくに帰任が早まって「帰国後◯年以内」の期限が近い場合は、出願できる年度が限られます。該当しそうなら、志望校に直接問い合わせて確認してください。

