配偶者の海外赴任が決まって、帯同のために退職すべきかを調べている方へ。検索して出てくるのは、辞めた人の体験談か、辞めた後の気持ちの話が中心だと思います。読むと少し安心はするのですが、いちばん知りたい「で、いつ辞めればいいのか」には、たいてい答えが書かれていません。
この記事は、辞めるか辞めないかを説得する記事ではありません。辞めるとしたら、いつ・何を確認してから辞めるかを、順番の問題として整理します。退職・休職・在籍のまま在宅の3つを同じ物差しで比べ、渡航後に「職歴の空白」をつくらないための考え方まで書きます。
書いているのは、現役の日本の先生が集まるオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。私たちの先生には、配偶者の赴任に帯同したまま日本の子どもに授業をしている人がいます。採用する側でもあるので、良い面だけでなく、先に確認しないと危ない点のほうを先に書きます。

「辞めるかどうか」より先に、確認で決まってしまうことがある
退職を迷っている段階でよくあるのが、気持ちの整理から始めてしまうことです。ところが実際には、会社と制度の側の条件を確認した時点で、選べる道はかなり絞られます。先に事実を集めたほうが、迷う時間は短くて済みます。
確認するのは3つです。① 自社に帯同のための休職制度があるか——あるなら期間・給与の扱い・復職の条件・申請の期限。制度がなければ、この時点で退職が前提になります。② 渡航先のビザ条件——帯同ビザで就労が認められるかは国・ビザ種別・年によって異なります。日本の会社と契約する場合でも、居住国の規定が及ぶことがあります。③ 帰国予定の見通し——2年で戻るのか、任期が延びうるのか。ここで「復職できる制度があるか」の価値が変わります。
本記事は一般的な情報であり、法的・税務的助言ではありません。休職制度の条件、退職や離職に関する手続き、雇用保険の取り扱い、就労の可否、扶養や納税の扱いは、会社・制度・国・年によって異なります。必ずご自身の就業規則、人事、ハローワーク、および税務の専門家にご確認ください。
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退職のタイミングは「3つの締切」から逆算する
「いつ辞めるか」は気分では決まりません。動かせない締切から逆算します。
締切A:休職制度の申請期限。制度がある会社では、申請できる時期が決まっていることがあります。ここを過ぎると、退職しか選べなくなります。まずここを人事に聞いてください。締切B:渡航日。引き継ぎ、有給の消化、健康診断や予防接種、住居の引き払いは、渡航日から逆算するとかなり手前で始まります。締切C:離職後の各種手続き。雇用保険には、渡航などですぐに求職活動ができない場合の受給期間の取り扱いがあります。要件も申請できる期間も変わりうるため、ここは必ず退職前にハローワークでご自身の条件を確認してください(この記事では日数や条件を断定しません)。渡航してからでは動きにくくなる手続きです。
この3つを紙に書き出すと、「迷っている期間」がどれだけ残っているかがはっきりします。多くの場合、思っているより短いです。
退職・休職・在籍のまま在宅、を同じ物差しで比べる
| 比べる観点 | 渡航前に退職する | 帯同休職を使う | オンラインで日本の子どもに教える(ともだちじゃぱん) |
|---|---|---|---|
| いつ決める必要があるか | 引き継ぎと渡航日から逆算 | 制度の申請期限まで(会社による) | 渡航後でも始められる |
| 収入 | なくなる | 無給または減額のことが多い(会社による) | 担当量に応じて発生する |
| 帰国後 | 一から再就職活動 | 制度に従って復職(条件は会社による) | そのまま続けられる |
| 職歴の空白 | 空白になる | 在籍は続くが実務の空白は残る | 空白にならない |
| 働く時間帯 | — | — | 授業枠は3つの時間帯にあり、時差の調整もしている |
| 先に確認すべきこと | 退職時期・雇用保険の手続き | 休職の条件・社会保険・扶養 | ビザ/在籍中なら副業規定/税務 |
退職して帯同する場合でも、日本の子どもにオンラインで教える仕事なら、渡航先が変わっても帰国しても続けられます(未経験・資格なしからの入口あり/週1コマから)。応募・お問い合わせは日本語教師・先生応募フォームから。働き方や報酬の考え方は採用ページにまとめています。

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「職歴の空白」は、辞め方ではなく渡航後の1年で決まる
帰国後の再就職でいちばん説明が要るのは、退職したという事実ではなく「その期間、何をしていたか」です。ここは辞め方では決まりません。渡航してからの過ごし方で決まります。
駐妻キャリア総研の調査では、帯同中の配偶者の約95%が「働きたい」と答えている一方、実際に仕事・収入があるのは約36%、約6割がキャリアの断絶を経験しています。働きたくないのではなく、働ける形が見つからないのが実態です。そして見つからない理由の多くは、現地の言語やビザではなく、探し方が「日本にいたときの職種の探し方」のままだからです。海外では、先に決まるのは職種ではなく働ける時間帯です。この考え方は帯同中の仕事の選び方に詳しく書きました。
私たちの生徒は、海外に住む日本にルーツを持つ子どもたちです。授業は現地の放課後や週末に置かれるので、「日本時間の日中」ではなく「生徒がいる国の夕方」が仕事の時間になります。海外にお住まいの方には、むしろ生活時間に重なります。そして帯同中の方は、私たちの生徒の状況を説明されなくても分かります。日本語が家の外では通じない場所で暮らすこと、日本の学校とのつながりが細くなること。同じ経験をしている人が担任である意味は、想像以上に大きいです。
未経験から始められる仕組みになっている
授業は8人前後の少人数・担任制で、子ども同士が日本語で話す関係をつくることまでが仕事です。選考では資格の有無より「対話型の授業観・子どもの主体性を尊ぶ教育観」を見ています。母体のNIJINは11事業を運営し、教員養成は1,400名超、教員コミュニティ「授業てらす」には累計1,200名超が集まっており、入ってから研修と伴走がある前提で採用しているためです。授業以外にWEB・広報・企業連携・進路・開発のジョブも選べるので、帰国後のキャリアにもつながります。
報酬はテーブルを公開し、担当する生徒数に連動します。あくまで例であり保証ではありませんが、副業スタートで月10万円〜、在宅中心で月25〜30万円、フルコミットで月40〜70万円台といった幅があります。必要なのはカメラとマイクのあるPC、安定した通信、そして静かに話せる場所です。
正直に:向かない場合もあります
まず、ビザや会社の規定で就労が認められない場合は、そこで止めてください。仕組みを壊してまで始めるものではありません。次に、担任制は時間割が固定されます。渡航直後で生活が定まらない時期、現地の予定が直前で動きやすい時期は、無理に始めないほうがうまくいきます。また、子どもの発言を待たずに答えを出してしまう方、決めた内容を最後まで進めることを優先する方は、私たちの選考でも通らないことがあります。通信環境が不安定な地域も率直に難しいです。合う場所とタイミングが違うだけ、という言い方をいちばん大事にしています。
よくある質問
帯同のための退職は、いつ伝えるのがよいですか?
就業規則の申し出期限、引き継ぎ、有給の消化、そして休職制度がある場合はその申請期限から逆算します。順番としては、退職を伝える前に「休職制度があるか」を人事に確認するのが安全です。制度があるのに知らずに退職してしまうケースがいちばんもったいないためです。
退職したら失業保険はどうなりますか?
雇用保険には、渡航などですぐに求職活動ができない場合の受給期間の取り扱いがあります。ただし要件も申請できる期間も変わりうるため、この記事では断定しません。渡航前にハローワークでご自身の条件を必ずご確認ください。渡航後は手続きが動かしにくくなります。
退職してからでも、日本の仕事を始められますか?
はい。渡航後に始める方が多いです。全授業オンラインのため、赴任先が変わっても帰国しても続けられます。ただし滞在国のビザ条件と税務の扱いはご自身でご確認ください。詳しくは帯同中の就労とビザの考え方をご覧ください。
日本語教師の資格も教員免許もありませんが、応募できますか?
できます。必須ではありません。資格より教育観と対話の姿勢を見ています。詳しくは資格なしでもなれる?をご覧ください。
退職しても、帯同はキャリアが止まる期間である必要はありません。まずは条件を確認したうえで、話を聞くだけでも構いません。週1コマから始められます。
採用の詳細や働き方はともだちじゃぱんの採用ページをご覧ください。在籍したまま帯同する道は帯同休職の過ごし方、渡航後の在宅の仕事は帯同中の在宅ワークの選び方もあわせてどうぞ。



