ロサンゼルスは、南北アメリカで最も「子どもの日本語教育の選択肢が厚い街」です。世界第2位の規模を誇る補習授業校あさひ学園から、1912年創立の継承語学校まで揃っています。ところが既存のガイドは頼りになりません。いちばん出回っている記事は2015年当時の学費のまま、大手のディレクトリは学費が一切載っていない、Yelpのまとめには公文や個人塾がしれっと混ざっている――という状態です。この記事では、LA都市圏の主要な日本語学校・補習校を「補習校(国語型)」「継承語型」「全日制」の3タイプに整理し、2026年7月時点で各校が公開している学費を出典つきでまとめます。英語が優位な日系・ハーフのお子さん(継承語)の視点も、正面から扱います。
先に相場感だけ。土曜開講の補習校は月270〜290ドル前後+入学金等、継承語クラスなら月100ドルから、唯一の全日制(西大和学園 平日校)は月1,000ドル超と桁が違います。では順に見ていきましょう。
ロサンゼルスの子ども日本語学校 学費比較一覧
| スクール | タイプ | 曜日 | 対象 | 授業料(月額) | エリア |
|---|---|---|---|---|---|
| あさひ学園 | 補習校(国語型/MEXT) | 土曜・終日 | 幼〜高校 | $270〜280(+環境費$20) | トーランス/サンタモニカ/サンガブリエル/オレンジ |
| 西大和学園カリフォルニア校(平日) | 全日制 | 月〜金 | プリK〜G9 | $930〜1,260(+施設費$101) | Lomita |
| 西大和学園 補習校(土曜) | 補習校(国語型) | 土曜・半日 | 幼〜G9 | $270(+施設費$20) | Lomita/Rancho Palos Verdes/Irvine |
| コスモス学院 | 継承語型+補習 | 土曜 9:00〜12:30 | 幼〜高校 | $250〜260(平日幼稚部$240〜480) | Sawtelle/West LA |
| GVJCI日本語学校 | 継承語型 | 土曜 9:00〜12:35 | 5〜17歳 | $100(1人)/$190(2人以上) | ガーデナ(South Bay) |
| ソーテル日本学院(JIS) | 継承語+外国語トラック | 土曜(+平日プリスクール) | 3〜18歳 | 要問い合わせ | Sawtelle Japantown |
| 三育東西学園 | 補習(キリスト教ミッション) | 土曜 | 幼〜中学 | 要問い合わせ | South Bay/OC(3校) |
| 共同システム(羅府中央/パサデナ学園) | 継承語型 | 土曜 8:45〜12:15 | 5歳〜高校 | 要問い合わせ | East LA/Pasadena |
| ともだちじゃぱん | オンライン・会話/友達 | 毎日参加OK(通い放題) | 5〜18歳 | 月21,483円(約US$140) | 自宅 |
3タイプの違いを知ると、選び方が見えてくる
LAの日本語学校はディレクトリ上では似て見えても、中身は大きく3タイプに分かれます。ここを混同すると「入ってから合わなかった」が起きがちです。

補習校(国語型)――日本の教科書で「学年相当」を目指す
あさひ学園は補習校の王道です。文科省(MEXT)認定の補習授業校で、世界第2位の規模。毎週土曜・終日、幼稚部から高等部まで日本の教育課程をまるごと学びます。校舎はトーランス、サンタモニカ(マリナ・デル・レイ)、サンガブリエル(サウス・エル・モンテ)、オレンジ(ウェストミンスター)の4か所。授業料は小・中学部が月$270、高等部が月$280+環境費$20、入学金$500・出願料$120です。日本に帰国して帰国子女入試(受験)に臨む子への実績はいちばん厚い一方で、トレードオフも本物。現地の平日校に加えて終日の国語の負荷と宿題が乗るため、英語優位の継承語の子にはかなりヘビーになります。西大和学園 補習校(土曜)はもう一つの国語型で、半日プログラム(幼〜G9)、月$270+施設費$20。オレンジ郡をカバーするアーバイン校を含む3校体制で、他の習い事と両立しやすい設計です。あさひ学園/西大和学園
継承語型――日系・ハーフの子の「もうひとつの母語」を育てる
英語が優位なお子さんに学年相当の国語をそのまま当てると、多くの場合しんどくなります。そこで力を発揮するのが継承語型――子どものペースで「もうひとつの母語」を育てる学校です。GVJCI日本語学校(Gardena Valley JCI・1912年創立)はLA全域で最も手頃な継承語校で、1人なら月$100(2人以上$190、10か月$900)。9月〜6月の毎週土曜9:00〜12:35、対象5〜17歳。英語優位の日系の子には理想に近い選択肢です。コスモス学院(Sawtelle・West LA)は継承語のアイデンティティと学習を両立させ、料金体系が明快なのも安心材料(土曜小学部 月$250・中学部$260)。ソーテル日本学院(JIS)はSawtelle Japantownの100年続く非営利団体で、継承語と日本語(外国語)の両トラックを持ちます(3〜18歳・要問い合わせ)。共同システム(羅府中央学園・パサデナ学園)はイースト LA〜サンガブリエル・バレーという手薄なエリアを土曜午前にカバーします。GVJCI/コスモス学院/三育東西学園

全日制――西大和学園カリフォルニア校(平日)
Lomitaにある西大和の平日校は、日本語約7:英語3のバイリンガル全日制(月〜金・プリK〜G9)で、米国西海岸で唯一の全日制日本人学校です。授業料はプリKが月$930、G1〜4が$1,040、G5〜9が$1,260+施設費月$101、登録料$850〜1,000。週末校とは目的も予算も別次元(プレミアム価格・Lomita1拠点)なので、この記事では紹介にとどめます。公式サイト
ロサンゼルスならではの3つの注意点
- 立地がすべて――しかも大半がSouth Bay:主要校はトーランス・ガーデナ・Lomitaに集中します。ウェストサイドはあさひサンタモニカ/コスモス/JISソーテル、サンガブリエル・バレーやイーストLAは手薄(共同システム・あさひサンガブリエル)、オレンジ郡はあさひオレンジ/西大和アーバイン。都市圏の「反対側」に住むと、土曜の送迎が片道45〜75分になります。
- 費用は積み上がる:補習校は入学金・出願料の前で月$270〜290、年$3,000超。全日制の西大和は月$1,000〜1,360、継承語のGVJCIは月$100。どれが正解かは、お子さんが「日本に帰る(帰国受験)」か「英語優位の継承語学習者」かで決まります。
- 補習校の強度は本物:あさひ・西大和は日本の4月〜3月のMEXT暦に沿って、現地の平日校の上に本物の宿題が乗ります。定員があり締め切りも早いので、早めに出願して席を確保してください。
オンラインという選択肢――週1回を「毎日」に変える
土曜学校の価値は本物です。ただ、多くのご家庭が感じているとおり、週1回の授業だけで日本語は話せるようになりません。そこで、土曜の補習校・継承語校と「組み合わせる平日の日本語時間」として、2026年12月開校のオンライン日本語スクールともだちじゃぱんを紹介させてください。置き換えではなく、併用が前提です。(補習校そのものと比較検討中の方は補習校の代わりにオンラインという選択肢もどうぞ。)
ここで時差の話を正直に。LAが難しいのはまさにここです。LAは日本より16時間遅れ(夏のPDT時)。「日本の平日の放課後クラス(日本時間17時)に入る」という直感は、LAでは深夜1時に着地します。これが“落とし穴”で、ごまかしません。ただ、うまくいく時間帯があります。日本の週末の午前は、そちらの週末の夕方です。日本の土曜9時=LAの金曜17時、日本の日曜午前=LAの土曜夕方。つまり北米西海岸のご家庭にとって確実な窓は、日本の「週末午前」クラスが、そちらの金曜・土曜の夕方に届くこと――放課後、自宅のリビングから参加できます。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍800名超)の日本の子どもたちと、少人数グループで話します。LAの教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができるのが最大の違いです。
- “レッスン”以上の、日本とのつながり:継承語の子にとって、アイデンティティやルーツとのつながりこそが長期的な価値。プリントを忘れた後も日本語が残る理由になります。
- 子ども特化だから継承語の子も安心:月21,483円(約US$140)で毎日でも参加OK。学年ではなく会話レベルでクラス分けするので、英語優位の子が「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題で「週1回では量が足りない」問題も解決します。

「土曜はGVJCIやあさひで仲間と学年相当の学び、週末の夕方はオンラインで日本の友達と会話」――この併用が、LAの子の日本語にはいちばん効きます。

よくある質問(ロサンゼルス在住の方から)
日系・ハーフの子は、補習校と継承語校のどちらがいいですか?
家庭での日本語量と、お子さんの進路によります。日本語での会話が日常的にあり、日本への帰国(帰国受験)が現実的なら、あさひや西大和のような補習校が合います。英語が明らかに優位なら、継承語校(GVJCI・コスモス・JIS等)のほうが、土曜を苦行にせず「日本語=楽しい」を保ちやすいです。入学面談で正直にレベルを相談するのがいちばんの近道です。
土曜学校に通うには都市圏の「反対側」に住んでいます。どうすれば?
サンガブリエル・バレーや東の端、近くに校舎のないOCの一角にお住まいだと、片道45〜75分の土曜送迎を何年も続けるのは大きな負担です。現実的な手は2つ。まず思ったより近い校舎を探すこと(あさひは4校、西大和は3校、共同システムはイーストLA/パサデナをカバー)。そして平日をオンラインで補い、無理のない土曜1回で足りるようにすること。オンラインは送迎ゼロ、自宅のキッチンから始められます。
土曜学校と両立できますか?
できます。ともだちじゃぱんは通い放題なので「行ける夕方に行く」スタイル。補習校の宿題が忙しい週は減らす、といった調整が自由です。役割も「読み書き・学年相当の学び(土曜校)×話す量と友達(オンライン)」で重なりません。
LAからだと時差が問題では?
ここだけは正直に計画したいポイントです。LAは日本より16時間遅れなので、日本の平日放課後クラス(日本時間17時)はこちらの深夜1時――これは成立しませんし、ごまかしません。成立するのは週末です。日本の土曜・日曜の午前が、そちらの金曜・土曜の夕方に届きます。西海岸のご家庭は、日本の「週末午前」クラスに、快適な夕方の時間帯で参加できます。週末の窓に合わせて計画すれば、距離は障害でなくなります。

