ソウル赴任が決まってソウル日本人学校の偏差値を調べても、数字はどこにも出てきません。それは情報が隠されているからではなく、この学校が偏差値で入る学校ではないからです。同校は日本の学齢に基づいて児童生徒を受け入れる在外教育施設で、入学試験も選抜もありません。では偏差値はどこで登場するのか――答えは中学部で年3回行われる校外模試(学力テスト)、つまり「入るとき」ではなく「日本の高校を受けるとき」です。この記事では、公開されている「令和8年度 入学のしおり」から、中学部の規模、3年間の進路の流れ、そして海外から高校を受けるときに実際に起きることを整理します。

まず学校の姿から。ソウル日本人学校は1972年5月8日に日本人会(現SJC)によって設立され、1980年に江南区開浦洞へ、2010年9月からは麻浦区上岩洞DMC地区の3代目校舎に移っています。韓国内では『私立各種学校』として認可され、日本政府からは文部科学省より「小学校・中学校の課程と同等の課程を有する在外教育施設」として認定を受けています。幼稚部・小学部・中学部の3学部で303名(2025年12月1日現在)。うち中学部は各学年1学級ずつの全3学級で54名です。

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偏差値で入る学校ではない――選抜がないという事実
同校は文部科学省が定めた年齢に対応する学年で教育を行っており、年齢より上の学年(飛び級)や下の学年に受け入れることは行っていません。編入の入口も試験ではなく相談で、しおりには「まずは学校に電話でご相談ください。編入園入学窓口:教頭」と書かれています。そのうえで「入園・入学希望者 情報シート」を提出し、国籍等について確認が入る場合があり、入学資格に問題がある場合は審査にかけられることがある、という流れです。
つまり「偏差値◯◯なら入れる」という基準は存在しません。受け入れの可否を左右するのは学力ではなく、学齢・在留資格・書類です。ここを取り違えると、渡航前に用意すべきものを間違えます。小中学部の編入希望者は、現籍校の退学手続き時に受け取る「在学証明書」「教科書給与証明書」に加えて、「指導要録の写し」「健康調査票(一般・歯)」を緘封のうえ預かってくるよう学校に依頼してください、と明記されています。とくに教科書給与証明書は、海外子女教育振興財団で教科書を受け取る際に必要になるため、他の書類より先に発行してもらうのが実務上のコツです。
偏差値が出るのは「年3回の校外模試」だけ
では中学部で偏差値が登場する場面はどこか。しおりの「進路に関して」には、生徒が自信を持って高校受験に臨めるようにするための取り組みとして、卒業生の受験資料の積み上げ、高校情報の資料収集、進路説明会と高等学校の教員による学校説明会、そして定期的な校外模試(学力テスト)の実施(年3回)が挙げられています。校内の定期テストとは別に、外部の模試を年3回受ける――ここで出る数字が、この学校で言うところの偏差値です。
実施時期も公開されています。第1学期に学力テスト(全学年1回)と期末テスト、第2学期に学力テスト(1・2年生1回、3年生2回)・中間テスト・期末テスト、第3学期に学力テスト(1・2年生1回)と学年末テスト。3年生だけ第2学期の学力テストが2回になっているのは、受験学年として判断材料を増やすためです。中3の進路スケジュールでは、4月に第1回進路希望調査、6月に第1回進路説明会と第2回進路希望調査、9月に第2回進路説明会・第3回進路希望調査・三者面談、11月に最終進路希望調査と、希望調査だけで年4回組まれています。

見落とされがちなのは、学校が模試の位置づけを明言していることです。5月の欄には「夏休みまでの模擬試験は、目標高校の合否判定ではなく、自分の弱点分野の発見にあることを理解しよう」とあります。偏差値を合否の予告として読むのではなく、夏休みの学習計画の材料として使え、という指導です。
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海外から高校を受ける――年内受験と年明け受験の2ルート
中3の進路表は10月以降、「年内受験者」と「年明け受験者」の2列に分かれます。年内受験者は10月に資料請求(2部)と面接・志願理由書・作文の指導、11月に志望校の書類一式を担任へ提出し願書を作成・提出、12月に受験・合否発表・入学手続き、という流れ。年明け受験者は10〜11月に同じ指導を受けたうえで、受験校の確定と帰国日程・受験計画の確認を三者面談で行い、公立志望なら受験資格申請を経て、年明けに願書提出・受験・合否発表・入学手続きへ進みます。
学校は、この過程の重さを率直に書いています。「海外から日本の高校を受験するとなると、不安も大きく国内から受験するより多大な労力を要します。それは、個々の進路先が違うため、それぞれの子どもが自分自身の力で進路を見つめ、高校の情報を収集し、学校訪問・受験校選択・書類入手・書類作成そして提出など、一連の作業を主体的に行なわなければならないから」。そのうえで、これらを自分でやりきった卒業生は「驚くほど成長をして卒業をしていきます」と結んでいます。偏差値の数字よりも、この「自分で段取りする」部分が海外受験の本体だ、という見方です。
中学部の学校生活――部活動はなく、行事と実行委員会で育てる
| 項目 | ソウル日本人学校 中学部 | 補足 |
|---|---|---|
| 学級編成 | 各学年1学級・全3学級 | 生徒数54名(2025年12月1日現在) |
| 授業日数 | 例年200日程度 | 令和8年度の入学式は4月14日(火)予定 |
| 年間授業時数 | 1,105時間(各学年) | 学習指導要領の1,015時間+90時間 |
| 上乗せの内訳 | 英会話35・韓国語35・本校独自の特別活動20 | 各学年共通。「ソウルタイム」等 |
| 登校・始業 | 登校7:40〜8:10/1校時8:20(50分授業) | 下校は曜日により15:15または16:35 |
| 部活動 | なし | 代わりに木曜(火曜)15:30〜16:20のスポーツタイム |
| 服装 | 指定の制服の記載はなし | 式典は式服。「高校受験等に行ける服装」が目安 |
| 体育の必修 | 柔道が必修 | 柔道着が必要。テコンドー・空手の道着でも可 |
数字で目を引くのは年間1,105時間という授業時数です。学習指導要領が定める1,015時間に対して90時間多く、その内訳は英会話35時間・韓国語35時間・本校独自の特別活動20時間。韓国語が3年間必修で、テキストは1年生入学時に全員一括購入します。現地校(善一中学校、ドワイト・インターナショナルスクール)との交流、中1の上級学校訪問または福祉交流学習、中2の職場体験学習、中3の釜山日本人学校との交流など、校外の活動も厚く組まれています。
そしてしおりは「部活動としての取組がない分、行事での成長が日本人学校では大切だと考えています」と書き、全員が必ず行事の実行委員会に参加する仕組みを説明しています。日本の中学校を想定して転入を考えるご家庭は、ここが最も大きな違いになります。
偏差値は上げられても、日本語で話す相手までは増えない
中学部54名、各学年1学級。この規模は、先生の目が届くという意味では大きな利点です。一方で3年間、日本語で話す相手はほぼ同じ十数人に固定されます。模試の偏差値は上げられても、話す相手の数は学校の規模で決まってしまう――駐在が長くなったご家庭から出てくるのは、費用よりもこの悩みです。
ともだちじゃぱんは、日本にいる同世代と少人数で毎日話す時間をつくるオンラインの学校です。ソウルと日本に時差はないので、下校後の時間がそのまま日本の夕方と重なります。移動がないぶん、通学バスや習い事で予定が埋まっている家庭ほど噛み合います。
よくある質問(ソウル日本人学校 偏差値)
ソウル日本人学校の偏差値はいくつですか?
入学試験がなく選抜も行わないため、入学難易度としての偏差値は存在しません。日本の学齢に基づいて受け入れる在外教育施設です。偏差値という数字が出るのは、中学部で年3回実施される校外模試(学力テスト)の個人結果です。
中学部は何人くらいですか?
各学年1学級ずつの全3学級で、1年生から3年生を合わせて54名(2025年12月1日現在)です。幼稚部・小学部・中学部を合わせた全体では303名(同日現在)となっています。
模試は年に何回ありますか?
校外模試(学力テスト)は年3回です。第1学期に全学年1回、第2学期に1・2年生は1回・3年生は2回、第3学期に1・2年生が1回という配分で、受験学年の3年生だけ第2学期が2回になります。
日本の高校はいつ受けることになりますか?
中3の10月以降、年内受験と年明け受験の2ルートに分かれます。年内受験は11月に願書提出、12月に受験・合否発表・入学手続き。年明け受験は帰国日程と受験計画を三者面談で確認したうえで、年明けに願書提出から入学手続きまで進みます。公立志望の場合は受験資格申請が必要です。
部活動はありますか?
ありません。代わりに木曜(火曜)15:30〜16:20の「スポーツタイム」があり、令和7年度はバスケットボール、サッカー、バドミントン、卓球が実施されました。しおりには「部活動としての取組がない分、行事での成長が日本人学校では大切」とあり、全員が行事の実行委員会に参加します。
制服はありますか?
指定の制服についての記載はありません。入学式などの式典には中学部の生徒は例年全員式服で出席します。日常の服装・髪型は「その服装で高校受験等に行くことができる」ことが目安、と説明されています。
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