本帰国が1〜2年先に見えてきたころ、「一時帰国 学校見学」と検索する家庭は確実にいます。次の夏休みに日本へ帰るなら、そのときに候補の学校を見ておきたい。子どもにも校舎を見せて、通うイメージを持たせたい。ところが調べ始めると、学校のサイトには「夏休み中は授業がありません」「個別の見学は受け付けていません」といった一文が並び、何から手をつければいいのか分からなくなります。
2026年10月18日時点で、自治体・国立大学附属校・私立校・海外子女教育振興財団(JOES)の公式情報を確認しました。結論から言うと、夏や冬の一時帰国では、日本の学校の授業そのものはほぼ見られません。そのうえで、私立は「帰国生向けの説明会・個別相談・個別見学」とJOESの合同説明会、公立は「入る予定の学校と教育委員会への事前連絡」、国立附属は「年に数回の説明会」を軸に、学校の種類ごとに動き方を変えるのが現実的です。

一時帰国の学校見学は、学校の種類で動き方が変わる
「学校見学」とひと口に言っても、私立・公立・国立附属で意味が違います。私立と国立附属は受験して選ぶ学校なので、説明会や見学の機会が用意されています。公立の小中学校は住所で通う学校が決まるので、見学は「選ぶため」ではなく「入る前の顔合わせ」に近くなります。
| 学校の種類 | 夏休み中の見学 | 窓口 | 申込のタイミング | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 私立中高(帰国生入試あり) | 学校によって分かれる。帰国生向けの夏の個別相談・見学を設ける学校もあれば、個別見学を中止している学校もある | 各校の入試広報(予約サイト・問い合わせフォーム) | 見学希望日のおよそ1か月前まで(海城)。説明会は約1か月前に予約が開く例が多い | 海城・立命館宇治・関西学院千里国際・三田国際科学学園の公式サイト |
| JOESの合同説明会 | 7月下旬に東京・名古屋・大阪で開催(2026年の例)。授業見学ではなく、学校の担当者と直接話す場 | 海外子女教育振興財団(JOES) | 事前登録制(無料) | JOES公式サイト |
| 公立小中 | 授業はない。学区の学校と事前に連絡を取り、手続きや受け入れについて相談する | 通学区域の学校・自治体の教育委員会 | 住所と帰国時期が決まった段階(世田谷区は帰国前の連絡も可) | 文部科学省・世田谷区 |
| 国立大学附属 | 説明会は年に数回。夏休み前後に開かれることがある | 各附属校(予約サイト) | 各回の予約開始日に合わせる | 東京学芸大学附属国際中等教育学校の公式サイト |
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夏と冬の一時帰国は、日本の学校の休みと重なる
まず押さえておきたいのが時期のずれです。新宿区立の小中学校の2026年度の予定では、夏季休業日が7月21日〜8月31日、冬季休業日が12月26日〜1月7日です(新宿区「教育課程日程」)。中野区も同じ日程です。海外の学校が夏休みに入り、家族で日本に帰るころには、日本の学校も夏休みに入っています。冬の一時帰国も、年末年始の休みとほぼ重なります。
休業日は自治体が決めるので、地域によって少しずつ違います。たとえば奈良市は、2026年度の小学校の夏休みを7月21日〜8月24日としています。8月の最終週に帰国する家庭なら、地域によっては2学期の授業を見られる可能性がありますが、全国どこでもというわけではありません。
授業日の学校を見たいなら、「海外の学校は休みで、日本の学校は授業がある時期」を探すことになります。たとえばシンガポールの公立校(MOE)の2026年の学年暦では、6月の休みが5月30日〜6月28日、年末の休みが11月21日〜12月31日です。6月や11月下旬〜12月25日は、日本の学校が授業をしている期間です。お住まいの国の学校の休みと、帰る地域の学校の授業期間を並べてみてください。
ただし、私立校の帰国生向けの行事は、海外の家庭が帰ってくる夏に合わせて組まれていることが多く、夏の一時帰国がむだになるわけではありません。授業を見ることにこだわるのか、先生と直接話すことを優先するのかを、先に決めておくと計画が立てやすくなります。
冬の一時帰国も同じ考え方です。新宿区の例では3学期の始業式が1月8日なので、年明けの帰りの便を数日遅らせれば、3学期の始まった学校を見られる計算になります。もっとも、始業直後の学校は行事や準備で忙しく、見学を受けてもらえるかは学校次第です。日程を延ばす前に、受け入れてもらえるかを先に確かめてください。
私立中高は「帰国生向けの夏の窓口」を探す
帰国生入試のある私立中高の多くは、海外の家庭向けに夏の行事を用意しています。ただ、その形は学校ごとにかなり違います。2026年の公式サイトで確認できた例を並べます。
- 海城中学高等学校(東京)=7月25日に帰国生対象の学校説明会(小4〜小6、1家族2名まで、Web予約)。さらに「一時帰国中の受験生・受験生保護者に限り」個別の学校見学・入試相談を受け付けており、対象は小3〜小6と転編入希望の中1、申込は見学希望日のおよそ1か月前まで、候補日を複数書くように案内しています。
- 立命館宇治中学校・高等学校(京都)=「帰国生対象 夏の個別入試相談&学校見学ツアー」を、7月13日〜8月21日の平日(除外日あり)に来校型で実施。相談約30分と校舎見学約30分で、各時間帯1組ずつ、予約サイトで6月11日から受け付けました。
- 関西学院千里国際中等部・高等部(大阪)=個別相談・見学は完全予約制で、Zoomでの相談も受け付け。対応は学期中の平日9時〜17時(日本時間)です。2026年夏は7月8日〜8月10日のあいだに5日の相談日を設けていました。
- 同志社国際中学校・高等学校(京都)=7月と8月に、本校で帰国生向けの学校・入試説明会の回を設定。問い合わせページには「帰国生徒対象 個別学校見学希望」の項目があります。一方で、2026年度は海外での学校説明会は開かないとしています。
反対に、夏の個別見学がない学校もあります。三田国際科学学園(東京)は「個別での校内見学などは、現在中止」としており、帰国生・英語受験者向けのガイダンスをオンライン(7月3日・8月4日・9月11日・10月23日、事前申込制)で開いています。広尾学園(東京)は7〜8月に通常の中学校説明会がなく、インターナショナルコースのAGガイダンスは8月22日から11月まで6回で、校内見学はありません。洗足学園(神奈川)の帰国入試志望者向け説明会は11月19日(木)で、説明のあとに授業見学がついています。授業まで見られる回が平日の秋に置かれている、という例です。
このように、同じ「帰国生に人気の学校」でも、夏に行って会える学校と会えない学校があります。志望校の候補が決まったら、前年の行事ページを見て「夏に何をしていたか」を確かめ、春のうちに予約開始日をメモしておくのが、いちばん確実な準備です。
オンラインで足りること、現地でしか分からないこと
三田国際科学学園や関西学院千里国際のように、オンラインのガイダンスやZoomの相談を用意している学校も増えています。入試の仕組み、出願資格、帰国生の受け入れ方針といった「説明で分かること」は、海外にいるうちにオンラインで聞いておけます。そうすれば、一時帰国中の限られた日数を、校舎の広さや通学路、駅からの道のり、生徒の雰囲気といった「行かないと分からないこと」に使えます。通学時間は毎日のことなので、見学の日は実際に滞在先から電車で行ってみると、入学後の生活が具体的に想像できます。
帰国時期によって受けられる入試が変わる点は、帰国子女の中学受験と帰国時期、高校の場合は帰国子女の高校受験と帰国時期で整理しています。
JOESの合同説明会は、1日で多くの学校と話せる
夏の一時帰国でぜひ予定に入れたいのが、海外子女教育振興財団(JOES)の「帰国生のための学校説明会・相談会」です。2002年から続く、帰国生向けとしては国内最大規模の説明会で、入場は無料、参加には事前の登録が必要です。
2026年は、大阪が7月27日(グランキューブ大阪)、名古屋が7月28日(名古屋国際センター)、東京が7月31日(東京都立産業貿易センター台東館)で、いずれも12時〜16時の予定でした。JOESの開催報告によると、参加した学校・団体と来場者は次のとおりです。
- 東京=参加校・団体166(ブース参加135、資料参加31)、来場者約1,300名
- 大阪=参加校・団体74(ブース参加53、資料参加21)、来場者約420名
- 名古屋=参加校・団体66(ブース参加45、資料参加21)、来場者約250名
会場では、小学校から大学までの帰国生受け入れ校のほか、教育委員会や学習塾、保護者の団体が個別相談のブースを出し、JOESの教育アドバイザーの無料相談、帰国生によるパネルディスカッション、ブースを出していない学校の資料コーナーもあります。私立の候補を絞りきれていない家庭や、公立に入るか私立を受けるかで迷っている家庭には、候補を広げてから個別見学で絞るという順番が組めます。
また、JOESは海外の都市でも説明会を支援しています。2026年度は5月に、バンコク・シラチャ・ホーチミン・チカラン・ジャカルタ、北米のコロンバス・アトランタ・メキシコシティで開かれました。住んでいる都市で開かれるなら、一時帰国の前に話を聞いておくこともできます。2027年の日程は、10月18日時点ではまだ発表されていません。

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公立小中は「選ぶ見学」ではなく「入る学校への事前連絡」
公立の小中学校は、私立とは考え方がまったく違います。文部科学省の説明では、日本国籍の子は帰国した時点から就学義務が生じ、住所地の教育委員会が住民基本台帳をもとに学齢簿を作って、通う学校と編入の日を保護者に知らせます。学年は原則として年齢相当です。
つまり、通う学校は帰国後の住所で決まります。世田谷区は「学校を自由に選ぶことはできません」と明記しており、指定校の変更は基準に沿って審査されます。公立の場合、学校を見て選ぶというより、どこに住むかを決めることが、学校を決めることにつながると考えたほうが近いです。
そのうえで、入る予定の学校とは早めに連絡を取れます。世田谷区は本帰国の家庭に対して、転入先の住所と帰国時期が決まったら通学区域の学校へ子どもの情報や転入届の予定日を連絡するよう案内し、「転入届出前(ご帰国前)にご連絡していただいても問題ありません」としています。住民票がまだない段階でも、学校に連絡を入れられるということです。
一方、住民票のない家庭が、公立校の校舎や授業を見学できるかを明記した自治体の公式ページは、今回の調べでは確認できませんでした。見学の可否は学校や自治体の判断になるので、教育委員会か学校に直接たずねてください。夏の一時帰国中なら、授業はなくても、先生と面談して受け入れの様子や日本語の支援について聞けることがあります。
相談のときは、帰国予定日、子どもの学年と海外での学校(日本人学校・現地校・インター)、日本語の様子を伝えると話が早く進みます。世田谷区の場合、編入の手続きで使うのは入国時の子どものパスポート(帰国日の証印がなければ搭乗券の半券)で、在学証明書や教科書の給与証明書は不要としています。必要な書類は自治体ごとに違うので、相談の際に確認しておきましょう。前の節で触れたJOESの合同説明会には教育委員会もブースを出しているので、帰る地域の教育委員会が参加していれば、そこで直接話を聞くこともできます。
一時帰国中に地域の学校に「体験入学」させて様子を見る方法もありますが、制度は自治体によって大きく違い、中央区のように体験入学の制度がなく、短期でも編入学の手続きが必要な区もあります。詳しくは一時帰国中に日本の学校に通うにはにまとめています。
国立大学附属の帰国生向け学級は、説明会の回が限られる
国立大学の附属校には、海外生活を経験した子どものための学級や枠を設けているところがあります。私立と同じく受験して入る学校ですが、説明会の回数は多くありません。
たとえば東京学芸大学附属国際中等教育学校は、2026年度の学校説明会を7月18日(第1回)と10月3日(第2回)に開きました。内容は両回とも同じで、学校見学ツアーもついていますが、第1回に参加した家庭は第2回に参加できません。実施日に海外に住んでいる家庭向けには、受検資格の確認相談をオンラインで受け付ける枠がありました(予約制・少人数)。学校説明の動画も公開されています。
東京学芸大学附属大泉小学校の「国際学級」や、お茶の水女子大学附属中学校の帰国生徒教育学級なども、各校のサイトで募集要項が公開されています。ただ、今回の調べでは、これらの学校が一時帰国中の家庭向けに見学や説明会を設けているかまでは確認できませんでした。応募資格(海外での在住期間や帰国の時期)がそれぞれ細かく決まっているので、見学の前に要項を読むのが先です。附属小の帰国枠は国立小学校の編入|帰国枠のある附属小と条件で一覧にしています。
見学の申し込み方と、当日に気をつけること
公式サイトで確認できた範囲で、申し込みのコツをまとめます。
- 申し込みはWeb予約が基本=説明会の多くは予約サイトやフォームで受け付けています。関西学院千里国際のように、日時の予約のあとに申込書をメールで送る学校もあります。電話だけで受け付ける例は、今回見た学校にはありませんでした。
- 1か月前には動く=海城の個別見学は「見学希望日のおよそ1か月前まで」。説明会の予約も開催の約1か月前に開く学校が多く、人気の回は先着順で埋まります。夏に行くなら、5〜6月に各校の行事ページを確認しておきます。
- 候補日は複数出す=一時帰国の日程は動かしにくいので、滞在中に行ける日を幅を持たせて伝えます。
- 時差に注意=問い合わせへの対応は日本時間の平日日中が基本です。返信が来るまで数日かかることも見込んでおきます。
- 参加人数の上限を確認=海城の帰国生対象説明会は1家族2名、広尾学園のAGガイダンスは1組2名までです。両親と子どもの3人で行くと全員は入れない回があります。個別見学は「受験生と保護者」が対象のことが多いので、子どもを連れて行くのが基本と考えてよいでしょう。
- 授業日でない日は「生活の様子」を聞く=夏休み中の見学では教室の雰囲気が分かりにくいので、帰国生が入学後どう過ごしているか、日本語の補習はあるかを先生にたずねます。
見学や説明会で実際に何を聞くかは、帰国子女の学校選び|決める順番と見学で聞く12の質問にまとめています。見学の予定を本帰国までのどの時期に入れるかは、本帰国の準備|子どもの教育でやること12か月逆算リストと合わせて考えると、抜けがなくなります。
本帰国まで2回の夏がある場合の組み立て方
本帰国まで一時帰国の夏が2回あるなら、1回目と2回目で役割を分けると無理がありません。以下は2026年の各校の行事をもとにした一つの例です。
- 1回目の夏(本帰国の約2年前)=JOESの合同説明会で候補を広げる。公立に入る予定なら、住む地域の候補を絞り、その地域の教育委員会のブースや窓口で受け入れの様子を聞く。
- その後の秋〜春(海外で)=候補校のオンライン説明会やZoom相談で、出願資格と入試の仕組みを確認する。翌年の行事ページを見て、予約開始日を控える。
- 2回目の夏(本帰国の約1年前)=絞った2〜3校の個別見学・帰国生向け説明会に行く。公立なら、住所と帰国時期が決まった段階で通学区域の学校へ連絡する。
夏が1回しかない場合は、合同説明会と個別見学を同じ滞在に詰めることになります。その分、オンラインで聞ける説明は出発前に済ませておくのがおすすめです。
見学で分かるのは学校の側。子どもの日本語は、残りの1〜2年で決まる
学校見学で分かるのは、学校の側のことです。帰国生をどう迎えるか、どんな授業をしているか、どんな先生がいるか。どの学校も、それぞれの考え方で帰国生を受け入れていて、見学してみて「ここなら」と思える学校に出会えるのは、何よりの収穫です。
一方で、見学では決まらないこともあります。本帰国の日に、子どもの日本語、とくに学年相当の国語の力がどこまで追いついているかです。帰国生入試の作文や面接、公立校に編入してからの授業は、どれもこの力が土台になります。見学から本帰国までの1〜2年をどう過ごすかで、入学後の最初の数か月の過ごしやすさが変わります。
ともだちじゃぱんは、海外に住む子どもが、日本の現役水準の先生と、8人までの少人数クラスで、日本の同世代の友達と毎日日本語で話すオンラインの学校です。2026年12月にパイロット開校を予定しており、通い放題の月額定額制です。開校の日程や学費は、ご登録の方に学校案内の資料でお届けしています。
よくある質問
夏の一時帰国で、日本の学校の授業を見学できますか
多くの地域では難しいです。新宿区立の小中学校の2026年度の夏季休業日は7月21日〜8月31日で、海外の学校の夏休みとほぼ重なります。ただし休業日は自治体ごとに決めるので、奈良市のように8月24日までの地域もあります。授業日を見たい場合は、海外の学校の休みと日本の授業期間が重なる時期(たとえば6月や11月下旬〜12月)を探してください。私立校では、洗足学園のように秋の平日に授業見学つきの帰国生向け説明会を開く例があります。
私立中学は、一時帰国中に個別で見学させてもらえますか
学校によって分かれます。海城は一時帰国中の受験生と保護者に限って個別の学校見学・入試相談を受け付けており、見学希望日のおよそ1か月前までの申込を求めています。立命館宇治は夏に帰国生向けの個別相談と学校見学ツアーを設けました。一方、三田国際科学学園は個別の校内見学を中止しており、オンラインのガイダンスで案内しています。志望校の公式サイトで、前年の夏の行事を確認してください。
JOESの「帰国生のための学校説明会・相談会」には予約が必要ですか
事前の登録が必要で、入場は無料です。2026年は大阪7月27日、名古屋7月28日、東京7月31日に開かれ、東京会場には166の学校・団体が参加しました。対象は、海外から帰国または一時帰国した小学生から高校生段階の子どもと保護者です。2027年の日程は、2026年10月18日時点では発表されていません。
住民票がなくても、公立小学校に相談できますか
相談できる自治体があります。世田谷区は、本帰国の家庭に転入先の住所と帰国時期が決まったら通学区域の学校へ連絡するよう案内しており、転入届を出す前、つまり帰国前の連絡でも問題ないとしています。ただし、住民票のない段階で校舎や授業を見学できるかを明記した公式の案内は確認できませんでした。まず帰国後に住む予定の地域の教育委員会にたずねてください。
学校見学には子どもも連れて行くべきですか
個別見学や帰国生向けの説明会は「受験生と保護者」が対象のことが多く、子どもを連れて行くのが基本です。ただし、海城の帰国生対象説明会は1家族2名まで、広尾学園のAGガイダンスは1組2名までと、人数の上限がある回もあります。申し込みの前に、何人まで参加できるかを確認してください。



