中国 日本人学校 教員募集で検索したあなたは、おそらく二つのことを同時に考えています。中国の日本人学校なら採用されやすいのではないか。そして、いまの中国で子どもを教える仕事に就いて大丈夫なのか。どちらも、きれいごとで済ませずに確かめるべき問いです。
この記事では、文部科学省の在外教育施設一覧と、海外子女教育振興財団(JOES)が公開している2027年4月赴任の「学校採用教員」の募集結果の数字をもとに、中国の日本人学校の教員募集の入口と倍率の実際を整理します。安全面についても、事実として押さえておくべきことを書きます。
この記事は、海外に住む日本にルーツを持つ子どもへオンラインで授業を届けているスクール「ともだちじゃぱん」が書いています。本記事は文部科学省・JOES・各校の公式情報ではありません。以下は2026年9月29日時点で各公式ページに掲載されていた内容に基づきます。募集の有無や条件は年度ごとに変わるため、応募の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。

中国の日本人学校は10校(香港を含めると12校)
文部科学省の「認定した在外教育施設の一覧」で中国の欄に載っている日本人学校は次のとおりです。
- 中国本土(10校):北京、天津、広州、深圳、上海(虹橋校)、上海(浦東校)、蘇州、杭州、大連、青島
- 香港(2校):香港日本人学校 香港校、大埔校
上海には二つの校舎があり、どちらも大規模校です。沿岸の大都市に集中しているのは、日系企業の駐在家庭が多い地域だからです。なお台湾の日本人学校(台北・台中・高雄)は一覧で別の欄になっています。
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入口は2つ——文科省派遣と「学校採用教員」
① 文部科学省の在外教育施設派遣。国内の現職教師などを派遣する制度で、派遣先は文部科学省が諸条件を総合勘案して決めます。「中国に行きたい」と指定はできず、逆に希望しない国・地域を申告することはできます。派遣期間は原則2年間です(文部科学省・在外教育施設派遣教師について)。
② 学校採用教員(JOESの雇用支援を通じた現地採用)。日本人学校などが自校で採用する先生のうち、JOESの雇用支援を通じて採用される人を「学校採用教員」と呼びます。応募はJOESのWEBシステムから学校を1校選んで行う方式で、応募資格は日本の教員免許(取得見込みを含む)。学校ごとに示される採用条件を守れることなどが条件です(JOES・2027年4月赴任 学校採用教員募集)。
2027年4月赴任の募集で、中国は約1.1倍だった
JOESは、2027年4月赴任の学校採用教員の参加校ごとに採用人数(予定)と応募人数を公開しています(2026年7月9日更新・応募者数は全体で352名)。このうち中国本土から参加した8校を並べると、次のようになります。
| 学校 | 採用人数(予定) | 第1志望の応募人数 | 第2志望の応募人数 |
|---|---|---|---|
| 上海日本人学校 浦東校 | 6名 | 11 | 7 |
| 上海日本人学校 虹橋校 | 6名 | 3 | 10 |
| 北京日本人学校 | 2名 | 3 | 2 |
| 大連日本人学校 | 2名 | 2 | 5 |
| 深圳日本人学校 | 2名 | 1 | 4 |
| 天津日本人学校 | 1名 | 2 | 2 |
| 広州日本人学校 | 1名 | 1 | 2 |
| 蘇州日本人学校 | 1名 | 0 | 1 |
| 中国本土8校の合計 | 21名 | 23 | 33 |
中国本土8校は、採用予定21名に対して第1志望の応募が23名=約1.1倍でした。8校すべてが第2志望の受付対象になり、蘇州は第1志望の応募が0名です。比べると、同じ募集でバンコク日本人学校は採用予定13名に79名(約6.1倍)、ハノイ日本人学校は12名に42名(3.5倍)でした。
数字だけを見れば「中国は入りやすい」と言えます。ただし、この倍率は書類と面接の選考前の応募数で、採用人数そのものではありません。そして、倍率が低い理由のひとつが次の章の話です。
安全面の事実から目をそらさない
2024年6月、蘇州で日本人学校のスクールバスを待っていた母子が襲われ、止めに入った中国人女性が亡くなりました。同じ年の9月には、深圳で日本人学校に通う10歳の男児が登校途中に刺され、亡くなっています。日本政府は中国側に安全確保を求め、各校も登下校や警備の体制を見直してきました。
応募を考えるなら、外務省の海外安全ホームページで都市ごとの最新情報を読み、応募先の学校の説明会や面接で、安全対策と通勤の方法を具体的に聞いてください。家族を帯同する場合は、家族の生活圏の安全も含めて判断が必要です。JOESの募集でも、海外で勤務することについて家族の同意を得ていることが応募条件になっています。
就労には、中国の就労許可と在留の手続きが必要です。要件は学校・時期・本人の経歴で変わるため、この記事では断定しません。必ず応募先の学校と中国政府の公式情報でご確認ください。法的な助言ではありません。

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中国に行かずに、中国で育つ日本の子どもを教える道
中国と日本の時差は1時間です。日本の夕方の授業は、中国でも夕方。これは、日本や別の国に住んだまま、中国で暮らす日本の子どもに授業を届けられるということでもあります。日本人学校のない都市に住む家庭や、現地校・インターに通いながら日本語を続けたい家庭は、中国にも少なくありません。
| 比べる観点 | 文部科学省の派遣 | 中国の日本人学校の学校採用教員 | オンラインのスクール(ともだちじゃぱん) |
|---|---|---|---|
| 行き先 | 文部科学省が決める | 応募する学校を自分で1校選ぶ | 全授業オンライン。いま住んでいる場所から |
| 応募の時期 | 年1回の選考サイクル | 年1回(2027年4月赴任分は2026年6〜7月に応募受付・8月に面接) | 随時受付 |
| 資格 | 日本の教員免許と勤務経験 | 日本の教員免許(取得見込み含む)+学校ごとの条件 | 資格は必須ではなく、授業観・教育観を重視 |
| 生活 | 原則2年間の赴任。家族帯同の範囲は区分で異なる | 現地に移住。就労許可の手続きが必要 | 引っ越し不要。週1コマから |
| 安全面の判断 | 派遣先の状況に従う | 応募前に都市と学校の安全対策を自分で確かめる | 通勤なし |
「海外で育つ日本の子どもに、オンラインで日本語・国語を教える」仕事に関心があれば、ともだちじゃぱんの先生募集も選択肢のひとつです(フルリモート・日本からでも海外在住のままでも・週1コマから)。応募は、NIJINの採用情報を読んだうえで履歴書を添えてエントリーする流れです。手順は応募方法のページに、働き方や報酬の考え方は採用ページにまとめています。
正直に:向く人・向かない人
中国の日本人学校は、倍率の面では挑戦しやすい学校が多く、大規模校で多くの同僚と働ける環境もあります。安全面の情報を自分で集め、家族と納得したうえで決められる人には、キャリアとしても大きな経験になるはずです。一方、「倍率が低いから」だけで決めるのはおすすめしません。当校は、教室で子どもに会う仕事ではなく、画面越しに8人前後の少人数クラスの担任をする仕事です。在外教育施設での勤務経験にはならず、担当する生徒が増えるまではコマ数も控えめに始まります。それでも、住む場所を変えずに海外の日本の子どもの日本語を支えられることは、赴任を迷う方の現実的な選択肢です。研修は母体NIJINの教員コミュニティ「授業てらす」の知見をもとに行います。
よくある質問
中国の日本人学校の教員募集はどこで見られますか?
文部科学省の派遣は文部科学省の公式ページ、現地採用の多くはJOESの「学校採用教員」の募集ページと各校の公式サイトで案内されます。2027年4月赴任分の応募受付はすでに終了しており、次の募集は例年どおりなら翌年の春以降に案内されます。最新の日程は必ず公式ページでご確認ください。
中国の日本人学校の倍率はどのくらいですか?
JOESが公開した2027年4月赴任の学校採用教員の募集では、中国本土の参加8校で採用予定21名に対し第1志望の応募が23名(約1.1倍)でした。学校によって差があり、上海日本人学校浦東校は6名に11名、蘇州日本人学校は1名に0名です。文部科学省の派遣の倍率とは別の数字です。
中国の日本人学校で働くのは安全ですか?
この記事では判断できません。2024年に蘇州と深圳で日本人学校に関わる事件が起き、各校は安全対策を強化しています。外務省の海外安全ホームページで都市ごとの最新情報を確認し、応募先の学校に安全対策と通勤方法を具体的に聞いたうえで、ご家族と判断してください。
教員免許がなくても、海外の日本の子どもに教える仕事はありますか?
日本人学校の学校採用教員は日本の教員免許が応募資格です。ともだちじゃぱんは資格を必須とせず、子どもと対話しながら授業をつくる姿勢を大切にしています。詳しくは日本語教師は資格なしでもなれる?をご覧ください。
中国の教室に立つ道も、住んだまま画面越しに教える道も、海外で育つ日本の子どもを支える仕事であることに変わりはありません。応募の前に、働き方と選考の流れを確かめてください。
採用の詳細や働き方はともだちじゃぱんの採用ページをご覧ください。制度全体の倍率は日本人学校の教員の倍率、給料は日本人学校の教員の給料もどうぞ。



