上海日本人学校のレビューを検索すると、上位に並ぶのは2009年の知恵袋、2014年の個人ブログ、2019年・2021年の帰国家庭の体験談、そして偏差値を「推察」するまとめサイトです。どれも書いた人にとっては本当のことですが、10年以上前の話も混ざっています。一方で、上海日本人学校(虹橋校)は保護者アンケートの結果を毎年、前年度との比較つきで公開しています。2025年度の調査は2025年11月10日〜21日に行われ、2026年3月11日に学校のサイトに載りました。この記事では、その数字を「保護者のレビュー」として読み、ネットでよく見る口コミを学校の公表資料で一つずつ確かめます。

まず規模――小中1,482名、日本人学校で世界最大
上海日本人学校は校舎が3つに分かれています。虹橋校(小学部のみ)868名、浦東校(小学部196名・中学部418名)、そして高等部119名です(いずれも令和8年4月時点の学校公表値。虹橋校は学年別の表を足した数)。小中学部だけで1,482名、高等部を含めると1,601名になり、日本人学校としては世界最大の規模です。学年ごとの内訳は上海日本人学校の生徒数にまとめています。
レビューを読むときに大事なのは、どの校舎の話かです。学校のよくある質問によれば、小学部は原則として黄浦江の西側(浦西)に住めば虹橋校、東側(浦東)に住めば浦東校。中学部は教科担当の教員を多く確保する必要と中高の連携から浦東校にだけ置かれています。虹橋校の子どもは、中学生になると川を渡って浦東校へ通います(虹橋校と浦東校の違い)。この記事で読むアンケートは虹橋校(小学部)の保護者のものです。
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保護者アンケートで評価が高かった項目
アンケートは「子どもについて」「先生について」「学校の体制について」の3つに分かれ、それぞれの項目をA 達成できた/B ほぼ達成できた/C あまり達成できなかった/D 達成できなかった/わからないの5択で答えます。下の表は、そのうち主な項目のAとBを足した割合です。
| 項目(要約) | 前年度 | 2025年度 | うち「達成できた」 |
|---|---|---|---|
| 子どもは学校へ行くのを楽しみにしている | 92.7% | 92.7% | 60.3% |
| 子どもは授業の内容を理解している | 92.1% | 92.8% | 43.2% |
| 子どもは友達と仲よく協力して学校生活を送っている | 94.5% | 91.1% | 54.7% |
| 先生は子どもにわかりやすく工夫した指導をしている | 91.4% | 92.1% | 57.2% |
| 先生は誠実で、適切な言動で子どもと接している | 90.1% | 90.6% | 62.3% |
| 学校は設備(体育館・図書室など)を適切に活用している | 93.0% | 93.2% | 60.8% |
| 学校は安全への対策・危機管理体制がしっかりしている | 88.2% | 91.2% | 53.6% |
いちばん大きいのは、「学校へ行くのを楽しみにしている」が9割を超え、そのうち6割は迷わず「達成できた」を選んでいることです。先生についての6項目も、すべてAとBの合計が9割前後にそろっています。ネットの口コミだけではわからない、いま通っている家庭の多数派の声がこれです。

評価が下がった項目・低い項目
学校が自分で公開している資料なので、よい数字だけを拾うのはフェアではありません。下がった項目、低い項目も同じ表に載っています。
行事の計画と実施――94.0%から84.6%へ
前年度からいちばん下がったのが「学校・学年行事の適切な計画実践」で、AとBの合計は94.0%から84.6%へ9.4ポイント低下しました。「あまり達成できなかった」は3.9%から9.9%へ増えています。何があったのかは資料に書かれていないので、ここでは推測しません。見学会や入学前の説明の場で、今年度の行事がどう行われているかを直接聞くのがいちばん確かです。
いじめへの取り組み――「わからない」が15.1%
「いじめや暴力行為を許さない学校作りに取り組んでいる」は、AとBの合計が79.0%(前年度80.5%)。数字そのものより目立つのは、「わからない」が15.1%(前年度14.1%)と、ほかの項目より一桁多いことです。学校も資料の中で、取り組みが保護者に十分伝わっていないと受け止め、いじめ防止を引き続き最重要課題とし、年間を通した啓発と教職員研修を続けると書いています。学校のサイトには「いじめ防止基本方針」も公開されています。
あいさつの習慣――76.8%
子どもについての項目で最も低いのが「元気のよいあいさつができている」76.8%です(前年度77.6%)。学校はこれを課題に挙げ、朝のあいさつ活動や「虹橋校の5つの約束」の確認に取り組むとしています。
なお、学校の資料のコメント欄には、表と一致しない数字が書かれている箇所があります(たとえば、いじめの項目の説明文は前年度の値と同じ「80.5%」「14.1%」を今年度の値として書いています)。この記事では表の数字を使いました。気になる方は原本の表をご覧ください。

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口コミでよく見る話題を、公表資料で確かめる
「施設がきれい」――設備の評価は93.2%
生徒自身がnoteに「施設にお金をかけすぎ」「図書室や水泳場の大きさが半端じゃない」と書いた記事が検索上位にあります。保護者の評価でも、設備の活用は93.2%と、アンケートの中で最も高い水準です。
「給食はある?」――ありません。毎日お弁当です
学校のよくある質問にははっきり「給食は提供しておりません」とあります。理由はアレルギーへの対処と食の安全の確保で、学校への出前も断っています。虹橋校の一日の紹介によれば、昼食は教室で家から持ってきたお弁当を食べ、ときには縦割り班で体育館や校庭にレジャーシートを敷いて食べる日もあります。
「レベルは高い? 日本より遅れている?」
2009年の知恵袋には「日本より授業が遅れていると聞いた」という質問が残っています。現在の学校の説明では、日本の教科書を使い、日本の公立学校と同じ教育課程を実施しています。午前は45分授業を4時間、週の前半3日は低学年も6時間目まであり、英語と中国語の授業があります。保護者アンケートでも「授業の内容を理解している」は92.8%でした。中学部(浦東校)は教科担任制で、日本の業者の実力テストを年2回行い、志望校判定もできます。高等部の入試と進路は上海日本人学校高等部の記事にまとめています。
「安全は大丈夫?」――保護者評価は上昇
中国の日本人学校の通学の安全は、保護者のいちばんの関心事の一つです。虹橋校の保護者アンケートでは、「安全に対して適切な対策や対応、危機管理体制がしっかりしている」が88.2%から91.2%へ上がり、「達成できた」だけでも47.5%から53.6%へ増えました。学校が公表している体制には、次のようなものがあります。
- 毎日23台のバスを職員総出で見送り、安全な通学のために公安や警備の配置を依頼している
- 学校の門やバス停までの大人による送迎をお願いしている
- 地区の警察から、児童生徒・職員以外の入校を制限するよう指導されている
- 2026年4月からは、校門付近でのチラシ配布や勧誘も一律に断っている
レビューに出てこない部分
口コミにもアンケートにも出てこない、入る前に知っておきたい条件を学校の公表資料から補っておきます。
- 日本国籍の子どもを受け入れる学校――外国籍の場合は、家庭の状況によって入学が許可されることもあるので、入学要項の問い合わせフォームから相談します
- 通う校舎は住む場所で決まる――小学部は浦西なら虹橋校、浦東なら浦東校。中学部は全員浦東校です
- 個別の学校見学はできない――新編入は年間数百名にのぼるため、年2回程度の「学校見学会」で見学します
- 2月・3月は編入を受け付けていない――8月・9月に編入すると、前期の通知表は所見のみになる場合があります
- スクールバスではなく「校車」――保護者がバス会社と契約して保護者の責任で乗る仕組みで、住む場所によっては乗れないこともあります
- 入学時に一度だけ「施設金」10,000元――兄弟姉妹は長子の入学時に一回だけ、再赴任でも領収書があれば再納入は不要です(学費は上海日本人学校の学費)
そして、国籍の条件があるため、インターや現地校を選んだご家庭の子は、この1,482名の輪には入れません。上海には、インターに通いながら日本語をどう保つかで悩むご家庭が多くいます。日本人学校とインターの比較は上海の日本人学校とインターの比較、週末の選択肢は上海の日本語補習校をご覧ください。

ともだちじゃぱんは、そこを補うためのオンラインの学校です。日本の現役水準の教員が担任につき、8人の少人数クラスで、日本にいる同世代の子どもたちと毎日話します。帰国しても、転校しても、クラスの友達は変わりません。上海と日本の時差は1時間。インターの放課後がそのまま日本の夕方と重なるので、生活を崩さずに続けられます。
よくある質問(上海日本人学校 レビュー)
保護者の評判はどうですか?
学校が公開している2025年度の保護者アンケート(虹橋校)では、「子どもは学校へ行くのを楽しみにしている」が92.7%、先生に関する6項目もすべて9割前後でした。一方で、行事の計画と実施は94.0%から84.6%へ下がり、いじめへの取り組みは「わからない」が15.1%ありました。
ネットの口コミは参考になりますか?
検索上位の口コミには、2009年の知恵袋や2014年のブログなど、10年以上前のものが混ざっています。上海日本人学校は学校評価の結果を毎年、前年度との比較つきで公開しているので、まず学校の公表資料を見て、そのうえで個人の体験談を読む順番がおすすめです。
給食はありますか?
ありません。アレルギーへの対処と食の安全の確保のため、学校は給食を提供しておらず、出前も断っています。毎日、家からお弁当を持っていきます。
学校見学はできますか?
家庭ごとの個別見学には対応していません。安全確保のため地区の警察から入校制限の指導を受けていることと、新編入が年間数百名にのぼることが理由です。年2回程度の「学校見学会」が学校のサイトで告知されます。
虹橋校と浦東校はどちらに通いますか?
小学部は原則として住む場所で決まり、浦西(黄浦江の西側)なら虹橋校、浦東(東側)なら浦東校です。中学部は浦東校にしかありません。
夏休みと学年暦は上海日本人学校の夏休み、中国の日本人学校の全体像は中国の日本人学校一覧、世界の学校は日本人学校の一覧をご覧ください。



