「マニラ日本人学校に入れたら、英語が話せないまま帰国することになるのでは」――マニラへの赴任が決まったご家庭から、いちばんよく聞かれる心配です。結論から書くと、学校の英会話は小学部で週2時間、中学部で週1時間。ネイティブの現地講師によるレベル別の授業で、校内では年3回英検も受けられます。ただ、1日の授業も同級生との会話も日本語なので、学校の時間だけで「英語が話せる」ところまで届くかというと、届きにくいのが正直なところです。この記事では、マニラ日本人学校の公式サイトに書かれている内容をもとに、英語の授業の中身、「話せない」と言われる理由、そして英語を伸ばしている家庭が学校の外で何をしているかを整理します。

まず結論――英会話は小学部週2時間・中学部週1時間
マニラ日本人学校(正式名称=在フィリピン日本国大使館附属マニラ日本人学校/MJS)は、BGC(ボニファシオ・グローバルシティ)にある小学1年生から中学3年生までの全日制の学校です。児童生徒数は全校で497名(2026年4月15日現在・学校公表)。教育は日本の学習指導要領に沿っており、授業は日本語で行われます。
そのうえで、学校は「学校の特色」の2番目に「ネイティブ講師によるレベル別英会話授業」を挙げています。公式サイトの記載をまとめると次のとおりです。
| 項目 | 小学部 | 中学部 |
|---|---|---|
| 英会話の時間 | 週2時間 | 週1時間 |
| 教える人 | 現地の先生方(ネイティブ講師) | |
| クラス分け | 6クラスに分けて授業(レベル別) | |
| テキスト | 本校独自のものを小学部・中学部別に作成 | |
| 英検 | 校内で年3回実施。多くの児童生徒が受験・合格 | |
| ねらい | 日常生活で使える英会話が中心 | |
学校は、フィリピンを「世界で3番目に英語を話す人が多い」国と紹介し、その環境で日常の英会話を学ぶ方針を示しています。つまり英語は「おまけ」ではなく学校の特色の一つです。ただし量としては週1〜2時間で、1日の大半は日本の教育課程の授業です。ここを知ったうえで期待値を合わせておくのが、入学後に「思っていたのと違った」とならないための第一歩になります。
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英会話授業の中身――レベル別6クラスと校内英検
公式サイトの記載で押さえておきたいのは3点です。
①レベル別の6クラス編成。学校は「6クラスに分けて現地の先生方が授業をします」と書いています。在校生の保護者へのインタビュー記事(マニラスタディルーム、2026年8月)でも「英会話はレベル別で行われるため、英語が初めてのお子さんでも安心」と紹介されています。赴任してきたばかりで英語がゼロの子と、インター帰りの子が同じ授業を受けるわけではない、ということです。
②独自テキスト。市販の教科書ではなく、小学部用と中学部用を学校が独自に作成して使っています。
③校内での英検。年3回、学校内で英検が行われ、「たくさんの児童・生徒が受験をし、合格をしています」とあります。英検の申し込みは学校の案内ページ(各種検定申込)から行う形です。受験のために外部の会場へ行かなくてよいのは、目標を置いて勉強を続けたい家庭にとって実務上の利点です。
英会話の授業以外にも英語に触れる場があります。学校の「国際理解・現地理解教育」のページでは、総合的な学習の時間にフィリピンの他の学校との交流を年に数回行い、修学旅行では現地校の子どもたちと一緒に授業を受けると紹介されています。英語で実際に相手とやりとりする経験は、授業時間とは別に積まれています。

それでも「話せない」と言われる理由
では、なぜ「マニラ日本人学校だと英語が話せない」という声が出るのか。理由は学校の質ではなく、時間の構造にあります。
日本の学校の英語は、学校教育法施行規則で標準の授業時数が決まっています。外国語活動が小学3・4年で年35単位時間、外国語(教科)が小学5・6年で年70単位時間、中学校は各学年140単位時間。日本人学校はこの日本の教育課程を土台にしています。そこへマニラ日本人学校は英会話の時間を置いていますが、週2時間を年間35週で単純に掛けると約70時間。1日中英語で過ごすインターナショナルスクールとは、英語を使う時間の桁が違います。
もう一つは休み時間と友達の言葉です。日本人学校では同級生も先生も日本語を話します。授業で英語を習っても、友達と遊ぶ時間の言葉は日本語。「習う英語」はあっても「使う英語」が学校の中では少ない――「話せない」の正体はここです。
これは欠点というより、日本人学校が日本の教育課程を守るための設計です。帰国後に日本の学校へそのまま戻れる、国語や算数が学年どおり進む、という日本人学校の強みは、この時間配分とセットになっています。英語を話せるようにしたいなら、足りない「使う時間」を学校の外で足す、と考えるのが現実的です。
ほかの日本人学校と比べると
「日本人学校の英語」は学校によって量がかなり違います。各校が公表している内容を並べると、マニラの位置がわかります。
| 学校 | 公表されている英語の時間 |
|---|---|
| 香港日本人学校 | 全学年で週5時間以上 |
| シンガポール日本人学校 | 小学1年から週3時間 |
| ホーチミン日本人学校 | 週2〜3時間 |
| ハノイ日本人学校 | 週2〜4時限 |
| マニラ日本人学校 | 小学部 週2時間・中学部 週1時間(レベル別6クラス) |
| クアラルンプール日本人学校 | 週2回 |
| バンコク日本人学校 | 小学部1年から週1〜2時間 |
マニラはアジアの日本人学校の中では中くらいの位置です。とくに中学部の週1時間は、香港やシンガポールと比べると少なめです。一方でマニラには、学校の外に英語がふつうにあるという、他の都市にはない条件があります。

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マニラで英語を伸ばしている家庭が学校の外でしていること
先の保護者インタビュー(マニラスタディルーム)では、在校生の放課後の様子が紹介されています。要点は次のとおりです。
・放課後の時間が比較的長く、多くの子が習い事をしている。人気は英会話・水泳・学習塾。
・コンドミニアムのプールに先生が来てレッスンを受けるケースもある(マニラならではの形)。
・宿題は日本より少なめという声があり、学習習慣のために塾を使う家庭もある。
・英語力が伸びたことをきっかけに、インターナショナルスクールへ転校するケースもある。
つまり、マニラで英語が「話せる」ようになった子の多くは、学校の英会話を土台にしながら、放課後に英語を使う時間を足しているということです。学校は朝7時登校と早く、そのぶん放課後の時間が取りやすい。ここをどう使うかで、同じ学校に通っていても英語の伸びが変わります。
英語を伸ばしたいご家庭が、入学前に決めておくとよいのは次の3つです。①学校の英検(年3回)で、学年ごとの目標級を置くか。②放課後の英会話を週に何回入れるか。③将来インターへの転校も選択肢に入れるか。③を考えるなら、帰国の時期と、その後の日本語・国語の学年相当をどう保つかも同時に考えておく必要があります。
保護者が英語を話せなくても大丈夫?
「英語が話せない」という心配は、子どもだけでなく保護者自身のことである場合もあります。日本人学校なので、担任の先生との面談や学校からの連絡は日本語です。先の保護者インタビューでも、保護者の英語力については「英語が話せなくても問題ない」と答えています。
ただし、スクールバスの手配や習い事、コンドミニアムでのやりとりなど、学校の外の生活では英語を使う場面が出てきます。学校生活そのものは日本語で完結する、と理解しておくのが正確です。
英語の次に考えたい「日本語」のこと
マニラ日本人学校は、英語だけでなく日本語にも手当てをしています。学校の特色の1番目は「日本語能力の保持・向上」で、小学部では各学年単位で日本語教室を実施。対象は国際結婚家庭など、日本語に不安を抱えている児童で、金曜日の6校時に開かれています。
マニラには、日本語と英語(とフィリピノ語)の両方がある家庭が少なくありません。そうした家庭では、「英語が話せない」の心配と同じくらい、「日本語の授業についていけるか」「帰国後に国語で困らないか」が気になるはずです。学校が日本語教室を設けているのは、その声があるからだと思います。
英語を学校の外で足すのと同じで、日本語も「話す量」は家庭の側で足せます。英語の習い事で放課後を埋めていくと、日本語を使う時間は学校の授業だけになりがちです。英語と日本語のどちらの時間を、週に何回、誰と持つかを、入学のタイミングで一度家族で決めておくと迷いが減ります。

入学・編入の前に確認しておくこと
英語の心配とあわせて、手続きで先に決まることも整理しておきます(学校「新・編入学のご案内」より)。
・入学の条件として、保護者がマニラ日本人会の会員であること。申込フォームの提出時にパスポートと日本人会会員証の画像が必要です。
・編入は通年で受け付け(新年度・学期初めに限らない)。
・個別の編入学試験は、小学生が国語・算数の2教科(約30分)、中学生が国語・数学・英語の3教科(約30〜40分)。目的は年齢・学年相応の日本語と学習能力の確認です。
・合否は試験当日に発表され、合格の翌日から登校できます。
中学生の編入試験には英語が入っている点は覚えておいてください。とはいえ試験の目的は学年相応の学習の確認であり、英語が話せるかどうかを見るものではありません。入学時の細かな条件は、学校が公開しているMJSハンドブック(2026年度版)で確認できます。
よくある質問(マニラ日本人学校の英語)
Q. マニラ日本人学校に通うと、英語は話せるようになりますか。
A. 学校の英会話は小学部で週2時間、中学部で週1時間です。レベル別の授業で基礎は身につきますが、学校の中の会話は日本語なので、「話せる」ところまで伸ばすには放課後など学校の外で英語を使う時間を足すのが一般的です。
Q. 英語の先生は日本人ですか。
A. 英会話授業は、学校の説明では「現地の先生方」が担当するネイティブ講師による授業です。6クラスに分けたレベル別で行われます。
Q. 英語がまったくできない子でも大丈夫ですか。
A. レベル別のクラス分けがあるため、英語が初めての子も自分のレベルから始められます。在校生の保護者インタビューでも「英語が初めてのお子さんでも安心」と紹介されています。
Q. 英検は学校で受けられますか。
A. 学校内で年3回英検が行われており、多くの児童生徒が受験しています。申し込みは学校の「各種検定申込」の案内から行います。
Q. 親が英語を話せなくても困りませんか。
A. 学校とのやりとりは日本語なので、学校生活で困ることは基本的にありません。保護者インタビューでも「英語が話せなくても問題ない」とされています。学校の外の生活では英語を使う場面があります。
まとめ
マニラ日本人学校の英語は、小学部週2時間・中学部週1時間の、ネイティブ講師によるレベル別英会話です。校内英検(年3回)や現地校との交流もあり、英語に触れる環境は用意されています。ただ、1日の授業も友達との会話も日本語なので、「話せない」と感じるかどうかは、学校の外で英語を使う時間をどれだけ足すかで決まります。
そして英語の時間を足すほど、日本語を話す時間は学校の中だけになりがちです。英語と日本語、どちらの「話す量」も家庭で設計できる――マニラでの学校選びは、そこまで含めて考えるのがおすすめです。
本記事の学校情報は、マニラ日本人学校の公式サイト(「英会話授業」「日本語教育」「国際理解・現地理解教育」「児童生徒数」「新・編入学のご案内」)の記載に基づき、2026年9月22日に閲覧した内容です。放課後の様子はマニラスタディルーム「【保護者インタビュー】マニラ日本人学校って実際どう?」(2026年8月2日)を参照しました。授業の時間や入学の条件は変わることがあるため、出願前に必ず学校の最新の案内をご確認ください。
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