香港赴任が決まって香港日本人学校のグローバルクラスを調べても、「英語で学べる日本人学校」という説明から先がなかなか出てきません。何年生から入れるのか、通常学級と何が違うのか、費用はいくら上乗せになるのか――結論から書くと、対象は小学4年生から小学6年生までの3年間、1クラスは最大20人、授業料は通常学級の約1.75倍で、入るには編入学試験に合格する必要があります。この記事では、学校が公開している令和8年度の納付金一覧とグローバルクラスの公式ページから、数字と仕組みを整理します。

まず位置づけから。香港日本人学校(Japanese International School)は、日本の学習指導要領で学ぶ小学部・中学部と、英語で学ぶ国際学級(IS)を併せ持つ学校です。グローバルクラスはそのうち小学部に置かれた特色コースで、日本人学校の枠組みのまま、授業のおよそ半分を英語で受けるという設計になっています。学校はこのコースを設けた理由を「今日のように変化の激しいグローバル社会を主体的に生き抜いていく児童を育成するために」と説明し、ただ単に英語力を身につけるだけでなく、日本人学校の特色を生かすことを前提に置いています。

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日英およそ50%ずつ――「英語を」ではなく「英語で」学ぶ
グローバルクラスの中身を一言でいうとイマージョンです。学校の説明は明快で、「イマージョン教育とは英語『を』学ぶのではなく、英語『で』教科を学ぶ学習法」。具体的には算数と理科が英語イマージョンで実施され、英語ネイティブ教員と日本人教員が一緒に学習を支えます。日英それぞれの使用頻度はおよそ50%ずつを目指す、と明記されています。
英語そのものの授業も通常学級とは別立てです。英国のナショナルカリキュラムに沿った英国の教科書を使い、聞く・読む・書く・話すの4技能を高いレベルへ引き上げることを目標にしています。授業以外にも、一人ひとりの読む力に合わせたオンラインの多読教材が用意されています。
見落とされがちなのは国語の扱いです。英語教育が看板ではあるものの、学校は「国語面の学力向上にも力を入れていきます」と書き、日本の学習指導要領に沿った国語の授業を展開すると明言しています。しかもネイティブの日本人教員とバイリンガル教員が、とくにインターナショナルスクールや現地校から来た児童を支援すると書かれている。つまりこのコースは、英語ができる子を伸ばす場であると同時に、英語環境から日本の教育課程へ戻ってくる子の受け皿としても設計されています。担任も日本人教師と英語教師の2人が受け持ちます。
新設科目「グローバルスタディーズ」――3年間で6つのテーマ
グローバルクラスにしかない科目がグローバルスタディーズです。国際的な問題や課題に対する知識と、調査・分析力、プレゼンテーション力を高める探究型の学びで、3年間で6つのトピック(年2トピック)を児童自身が調べ、議論し、発表します。扱うテーマは次の6つです。
- 多様性(Diversity)
- 限られた資源としての水
- 環境と持続可能性
- イノベーション・テクノロジーとその影響
- 政府と人々の暮らし
- 紛争と平和構築
1年間のまとめとして、3学期に自己探究発表会(Exhibition)を英語で行います。児童が自分でリサーチし、個人でプレゼンテーションをする形式です。さらにSAP(Student Action Project)という活動が組み込まれていて、学んだ知識をワークショップや低学年へのストーリーテリング、プレゼンテーションという形で校内に還元します。学びを教室の外へ出す設計です。
一方で、日本の学校らしさは手放していません。クラブ、集会、学習発表会、運動会といった学校行事には通常クラスと同じように参加します。加えて、少人数で動きやすいこと、語学のバリアが低いことを生かして、通常クラスより校外活動が多いと説明されています。

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費用は月9,970香港ドル――通常学級との差は月4,260香港ドル
ここがいちばん知りたいところだと思います。令和8年度(2026/2027・2026年4月から有効)の学校納付金は、学校が金額を公表しています。月額・香港ドルです。
| 項目(月額・香港ドル) | 小学部 通常学級(小1-小6) | 小学部 グローバルクラス(小4-小6) | 中学部 |
|---|---|---|---|
| 授業料 | 5,710 | 9,970 | 6,770 |
| PTA会費 | 25 | 25 | 6 |
| 合計 | 5,735 | 9,995 | 6,776 |
| 通学バス(香港島) | 2,350 | 2,350 | 2,613 |
| 通学バス(九龍・新界) | 2,132 | 2,132 | 2,613 |
授業料の差は月4,260香港ドル、年額にすると51,120香港ドルです。通学バス代は通常学級と同額なので、上乗せは授業料だけで決まります。納付は年3回、4か月ぶんずつの自動引落で、令和8年度は4月1日・8月1日・12月1日。バスを使わない場合のグローバルクラスの4か月合計は39,980香港ドル、香港島のバスを使うと49,380香港ドルになります。
見落としやすい項目が2つあります。ひとつは入学金で、令和8年度は香港政府からの指示により徴収されません(新入学・編入学とも)。もうひとつはACL(Annual Capital Levy=学校施設費)15,960香港ドルで、2026年度から編入学時に一括で支払う扱いになり、しかも毎年支払う必要があり、次年度からは年度初めに納入すると明記されています。年に一度の固定費として最初から見込んでおくべきお金です。
入るには試験がある――年2回の編入学試験
日本人学校の通常学級は原則として選抜のない受け入れですが、グローバルクラスは違います。学校の募集ページには「志願者は編入学試験を受け、合格しなければなりません」とはっきり書かれています。
受け入れは1学期(4月)と2学期(9月)の年2回、対象は小4・小5・小6。編入学試験は例年7月と11月に実施されます。学校の公式サイトには2026年7月28日付で「2027年度4月小学部グローバルクラス 編入学試験、説明会予約のお知らせ」が掲出されており、説明会は予約制です。渡航のタイミングが年度途中になるご家庭は、試験月から逆算して動く必要があります。
なお学校は現在学校統合に関する経営理事会からのお知らせも出しており、大埔校を含む学校運営の枠組みが動いています。募集要項は年度ごとに変わるため、金額と日程は必ず最新の掲出でご確認ください。問い合わせ先は事務局(電話 +852-2652-2313)です。
英語は増える。では日本語で話す相手は増えるか
グローバルクラスは、海外にいながら日本の教育課程を続けられて、しかも英語が伸びる――駐在家庭にとって理屈のうえでは理想的な選択肢です。ただし最大20人という規模は、裏を返すと3年間、日本語で話す相手がほぼ同じ十数人に固定されるということでもあります。授業の半分が英語になるぶん、日本語で考えて日本語で言い返す時間は、通常学級より確実に減ります。
実際、帰国後に効いてくるのは語彙の量よりも「日本語で言い合った経験の量」です。ともだちじゃぱんは、日本にいる同世代と少人数で毎日話す時間をつくるオンラインの学校です。香港と日本の時差は1時間だけなので、下校後の時間がそのまま日本の夕方と重なります。通学バスや習い事で予定が埋まっている家庭ほど、移動のいらないオンラインは噛み合います。
よくある質問(香港日本人学校 グローバルクラス)
グローバルクラスは何年生から入れますか?
小学4年生から小学6年生までの3学年が対象です。受け入れは1学期(4月)と2学期(9月)の年2回で、いずれも編入学試験に合格する必要があります。
1クラス何人ですか?
最大20人です。担任は日本人教師と英語教師の2人が受け持ちます。
授業料は通常学級よりいくら高いですか?
令和8年度の授業料は月9,970香港ドルで、通常学級(小1-小6)の5,710香港ドルとの差は月4,260香港ドル、年額で51,120香港ドルです。これに毎年のACL(学校施設費)15,960香港ドルが加わります。入学金は令和8年度については香港政府の指示により徴収されません。
英語で学ぶのはどの教科ですか?
算数と理科が英語イマージョンで行われます。加えて英語の授業では英国のナショナルカリキュラムに沿った英国の教科書を使います。日英の使用頻度はおよそ50%ずつを目指すと説明されています。
日本の学習指導要領から外れませんか?
外れません。グローバルクラスは日本の学習指導要領に沿って学習を進めると明記されており、国語も日本の学習指導要領に沿った授業を行います。クラブ・集会・学習発表会・運動会などの学校行事にも通常クラスと同じように参加します。
インターや現地校から移っても大丈夫ですか?
学校は、とくにインターナショナルスクールや現地校から来た児童について、ネイティブの日本人教員とバイリンガル教員が国語の学習を支援すると説明しています。ただし入るには編入学試験の合格が条件です。
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