ホーチミン赴任が決まってホーチミン日本人学校の学費を調べると、多くのページが「日本人学校は年間100万円前後」といった相場の話で止まります。ところが同校は、納入案内のPDFを公式サイトに掲載していて、金額がそのまま読み取れます。しかも入学金だけが、勤務先が商工会議所の会員かどうかで250ドル変わるという、他の日本人学校であまり見ない仕組みです。この記事では、公表されている令和8年度(2026年度)の実額と、支払いの単位・為替レートの決まり方・銀行手数料の扱いまで、赴任前に効く形で整理します。
令和8年度の実額――授業料は月400ドル

同校が公開している「入学金・授業料及びスクールバス使用料納入のご案内」(令和8年6月1日付)には、2期分(8〜11月)の内訳が米ドルとベトナムドンの両方で書かれています。換算レートは1USD=26,000VNDと明記されています。
| 項目 | 月額(USD) | 月額(VND) | 2期分(8〜11月)の小計 |
|---|---|---|---|
| 入学金(JCCH会員) | 500.00 | 13,000,000 | USD 500.00 / 13,000,000VND(初回のみ) |
| 入学金(JCCH非会員) | 750.00 | 19,500,000 | USD 750.00 / 19,500,000VND(初回のみ) |
| 授業料 | 400.00 | 10,400,000 | USD 1,600.00(4か月分) |
| スクールバス使用料 | 150.00 | 3,900,000 | USD 450.00(3か月分) |
| 合計(JCCH会員) | ― | ― | USD 2,550.00 / 66,300,000VND |
| 合計(JCCH非会員) | ― | ― | USD 2,800.00 / 72,800,000VND |
バス代が3か月分になっているのは、案内に「8月分のスクールバス使用料は徴収しません」と注記があるためです。2期は8〜11月の4か月ですが、バスだけ9・10・11月の3か月分になります。
1期分(4〜7月)の案内も同じ形式で公開されており、こちらはバスが4か月分(USD600.00)のため、合計はJCCH会員でUSD2,700.00、非会員でUSD2,950.00です。授業料の月額400ドルと入学金の額は1期・2期で同じです。

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入学金が250ドル違う――「JCCH会員」とは何か

納入案内でいちばん目を引くのが、入学金だけが会員・非会員で分かれている点です。授業料もバス代も同額なのに、入学金はUSD500とUSD750で、差は250ドルあります。
JCCHはホーチミン日本商工会議所のことです。同校の「学校の概要」には、設立が1997年(平成9年)4月21日、設置者がホーチミン日本商工会議所(JCCH)、運営主体がホーチミン日本人学校運営委員会、ベトナムにおける立場は「在ホーチミン日本国総領事館付属 ホーチミン日本商工会議所立 ホーチミン日本人学校」と明記されています。学校を設けているのが商工会議所そのものなので、会員企業の子女の入学金が低く設定されているという構図です。
つまりこの250ドルは、家庭の側で選べる金額ではなく、勤務先がJCCHに加盟しているかどうかで決まります。赴任が決まった段階で総務担当に「うちはJCCH会員か」を一度確認しておくと、見積もりがぶれません。個人事業や現地採用など、会社を通さない立場の場合は非会員の額で見ておくのが安全です。
支払いは「期ごとに全額前納」が原則
日本の学校の感覚と最も違うのが支払いの単位です。案内には「原則として期毎に全額前納していただくこととなっております」とあり、年度は次の3期に区切られています。
| 期 | 対象月 | 請求書の発行時期 | 為替レートの採取日 |
|---|---|---|---|
| 1期 | 4月〜7月 | 1月〜2月 | 12月最終の銀行営業日 |
| 2期 | 8月〜11月 | 6月 | 5月最終の銀行営業日 |
| 3期 | 12月〜3月 | 10月 | 9月最終の銀行営業日 |
月払いにしたい場合の道は用意されています。案内には「月払いを希望される方は、『月払い申請書』を提出してください」とあり、申請書は学校事務に申し出て入手します。月払いの場合は月末までに翌月分を支払う前払い方式です。会社が費用を負担していて請求書が必要な場合や、支払いが遅れる事情がある場合も、学校に問い合わせるよう案内されています。
支払期日は「編入日前までにお願いします」。つまり入金が済んでいないと通学が始められない設計です。着任直後は口座開設が終わっていないことも多いので、ここは赴任スケジュールに直結します。
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ドン建てのレートは「500VND刻みで切り下げ」て決まる
金額は米ドル建てで定められていますが、ベトナムドンで払う場合のレートの決め方まで公開されています。以前は市場と大きく乖離したときに随時改定していたものを、令和7年度2期分から、期ごとに定期的に算定する方式へ変更したという説明です。
算定方法は具体的です。採取日のMUFG銀行ホーチミン支店「EXCHANGE RATE PUBLIC QUOTATION」のUSD/VND仲値(TTBとTTSの平均値)を使い、500VND刻みで切り下げます。学校が挙げている計算例は次のとおりです――12月末最終営業日のTTBが25,450VND、TTSが25,750VNDなら、平均は25,600VND、500VND刻みで切り下げて1期分のレートは25,500VNDになります。
実務上の意味は2つあります。ひとつはレートが期の途中で動かないので、その期の支払額はドン建てでも確定していること。もうひとつは切り下げ処理のぶん、市場レートよりわずかに家庭側に有利な水準になりやすいことです。逆に、ドン建てで見積もっていると期をまたいだ瞬間に金額が変わるので、社内精算では「USD建てが原資、VNDは換算値」と説明しておくと混乱がありません。
振込で見落としやすい4点
| 決まっていること | 実務上の注意 | |
|---|---|---|
| 1 | 振込先はMUFG Bank, Ltd., Ho Chi Minh City Branch/受取人「The Japanese School in HCMC」 | ベトナム国内からはVND口座、国外からはUSD口座と分かれている |
| 2 | 口座番号は「口座番号-バーチャルコード」の形式。初回の入金は口座番号だけでよい | バーチャルコードは2回目以降の請求書に記載。ハイフンが入力できない場合は省略可 |
| 3 | 備考欄に子どもの名前を必ず記入。国内からはVND金額、国外からはUSD金額で送る | 名前がないと消し込みができない。通貨を取り違えると差額が出る |
| 4 | 送金銀行・中継銀行・受取銀行を含め、すべての手数料は送金者負担 | 日本から送ると中継手数料で目減りしやすい。着金額が不足すると再送金になる |
もうひとつ、経理担当者が驚くのが領収書の扱いです。案内には「ベトナムにおける本校の立場は、在ホーチミン日本国領事館付属日本商工会議所立の学校であるため、レッドインボイスの発行はしておりません。学校独自の領収書の発行になります」と書かれています。ベトナムでは経費精算にレッドインボイス(VAT請求書)を求める会社が多いので、赴任前に「学校発行の領収書で精算できるか」を確認しておくと、あとで揉めません。
1年でいくらになるか(公表値からの試算)
学校は期ごとの案内しか出していないため、年額は公表されていません。公表されている月額から素直に積み上げると次のようになります。あくまで当サイトの試算で、学校が示した数字ではありません。
| 項目 | 計算 | 年額の目安(USD) |
|---|---|---|
| 授業料 | 月400ドル × 12か月 | 4,800 |
| スクールバス使用料 | 月150ドル × 11か月(8月分は徴収なし) | 1,650 |
| 入学金 | 初年度のみ・JCCH会員500/非会員750 | 500〜750 |
| 初年度合計の目安 | ― | 6,950〜7,200 |
| 2年目以降の目安 | ― | 6,450 |
学費を払えば日本語が育つ、とは限らない
ここまでの数字は、「日本の教育課程を海外で受け続けるための費用」です。日本人学校に通えていれば、教室に日本語はあります。それは大きな安心です。
一方で、駐在が長くなるほど保護者から出てくる悩みは費用よりも「話す相手が固定されてくる」ことに寄っていきます。学年が上がるほどクラスの人数は限られ、同じ数人と同じ話題を続けることになります。ともだちじゃぱんは、日本にいる同世代と少人数で毎日話す時間をつくるオンラインの学校です。移動がないので、送迎や課外活動で予定が埋まっている家庭ほど噛み合います。
よくある質問(ホーチミン日本人学校 学費)
授業料は月いくらですか?
令和8年度の納入案内では月額USD400.00(10,400,000VND、1USD=26,000VNDで換算)です。期ごとにまとめて前納する方式で、2期分(8〜11月)なら4か月分のUSD1,600.00になります。
入学金はいくらですか?
初回のみ、JCCH(ホーチミン日本商工会議所)会員でUSD500.00、非会員でUSD750.00です。授業料やバス代に会員・非会員の区別はなく、入学金だけが分かれています。勤務先がJCCHに加盟しているかどうかで決まるため、赴任前に会社の総務へ確認してください。
スクールバス代はいくらですか?
月額USD150.00(3,900,000VND)です。ただし案内に「8月分のスクールバス使用料は徴収しません」とあり、2期分(8〜11月)は3か月分のUSD450.00、1期分(4〜7月)は4か月分のUSD600.00になります。
月払いにできますか?
できます。原則は期ごとの全額前納ですが、「月払い申請書」を提出すれば月払いが可能と案内されています。申請書は学校事務に申し出て入手します。月払いの場合は月末までに翌月分を支払います。
ドン建てのレートはどう決まりますか?
期ごとに定期的に算定されます。採取日(1期=12月最終営業日、2期=5月最終営業日、3期=9月最終営業日)のMUFG銀行ホーチミン支店のUSD/VND仲値(TTBとTTSの平均)を、500VND刻みで切り下げた値です。期の途中でレートは動きません。
会社の精算にレッドインボイスは出ますか?
出ません。同校は在ホーチミン日本国領事館付属・日本商工会議所立の学校という立場のため、レッドインボイスは発行せず、学校独自の領収書になると明記しています。会社の経費精算で必要な書類の形式を、赴任前に確認しておいてください。
ホーチミンでの学校選び全体はホーチミンの日本人学校とインター比較、1年の予定はホーチミン日本人学校の年間行事、費用の全体像は日本人学校の学費、世界の学校の一覧は日本人学校の一覧をご覧ください。




